リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所は、従業員規模300名以上の企業に正社員として勤務する一般社員と管理職435名を対象に「自律的に働くことに関する実態調査」を実施した。調査期間は2020年6月12日〜13日。
経営者やマネジメント層からの「自律」への期待に関する質問では、回答者の8割が、所属企業から「自律的に働くことを期待されている」と回答。また、半数以上が経営者やマネジメント層から「自律的に働くことを期待されている」と感じる具体的なメッセージを受け取っている。
「自律」を期待されていると思う理由では、「会社の業績を高めるために、現場の工夫や提案を求めているから」「従業員の働きがいが高まると考えているから」という回答が多く挙げられた。会社が重要員に「自律」を期待することは、合理的な経営判断であると捉えている。また、管理職は「上司が正解を示せる時代ではない」と考える人が多く、業務の高度化・複雑化の影響を受けているといえる。
その一方で、「自律」を期待されていないと回答した約2割(67人)が挙げる理由としては、「上司や会社の指示に従うことが会社員の仕事だから」という回答が多い。「結局、上位者の気に入る案しか実行する気がない」という諦めと、「明快な指示を出すことが、経営陣や管理職の仕事だから」という上位層への期待の強さとも取れる役割意識があることが分かった。
「自律」に対する意識については、回答者の8割が、「自分自身は自律的に働きたい」と回答した。その一方で、「上司や会社から、自律的に働くことを阻まれている」「周囲に、自律的に働くことを望んでいる人は少ない」と回答する人が、「自律的に働きたい」とする人の約半数を占めた。自分は自律的に働きたいけれど、周りが望んでいないという認知が存在し、「自律を求められることに息苦しさを感じる」人も、自律的に働きたいとする人の半数程度いることが見える。
また、8割以上の人が「周囲から自律的に働くことが求められる」と感じている一方で、「自律的に働くことは難しい」「自律ばかり強調すると、協働がおろそかになる」と考えている。さらに、「大きく任せてくれる上司」のほうが「きめ細かく指示してくれる上司」より好まれ、「個人が選択することを奨励する会社」のほうが「働き方や生き方を、ある程度計画し提示してくれる会社」より好まれる傾向がある。
年代別では、20代は「きめ細かく支持をしてくれる上司」を好み、30代以降は「大きく任せてくれる上司」を好む傾向がある。「上司や会社から、自律的に働くことを阻まれている」「自律を求められることに、息苦しさを感じる」といった意識は年齢とともに減少していることが明らかになった。
なお、同調査では上記のほか、「チームや組織の良い状態や、人生という時間軸での良い状態に向けて自らを律することよりも、日々の仕事における自律が難しい」「『自律』の経験やマインドは、「協働志向の自律」にもつながっている」といった結果も出ている。より詳しい結果については、プレスリリースを参照のこと。