米オラクルと、Workplace Intelligence社が実施した新たな調査によると、コロナ禍によって職場でのストレス、不安、極度の疲労(燃え尽き症候群)が増加し、人々が人よりもロボットに支援を求めたいと考えていることが判明した。
調査は、世界11か国(米国、英国、UAE、フランス、イタリア、ドイツ、インド、日本、中国、ブラジル、韓国)の従業員、マネージャー、人事部門リーダー、経営幹部を対象として、2020年7月16日~8月4日にSavanta, Inc.が実施。22歳~74歳の1万2347人から回答を得ている。
調査結果の概要は以下のとおり。
コロナ禍は、世界の従業員のメンタルヘルスに悪影響
- 70%が、これまでのどの年よりも2020年は職場でストレスと不安を感じたと回答している。
- このストレスと不安の増加は、世界の従業員の78%のメンタルヘルスに悪影響を及ぼし、ストレスの増加(38%)、ワーク・ライフ・バランスの喪失(35%)、極度の疲労(燃え尽き症候群)(25%)、社交がないことによる気力減退(25%)、孤独感(14%)を生じさせている。
- 世界的パンデミックによって新たに生じたプレッシャーは、業績基準の達成(42%)などの職場での日常的なストレスに加え積み重なった。
仕事でのメンタルヘルスの問題は、人々の私生活に悪影響
- 職場でのメンタルヘルスの問題(ストレス、不安、極度の疲労)が家庭生活に影響していると85%の人が回答。国別1位はインド(93%)、次いでUAE(91%)、ブラジル(90%)、となっている。
- 最も多く見られた影響は、睡眠不足(40%)。
- リモートワークによって公私の境界がより曖昧になり、35%が以前に比べ毎月40時間以上多く働き、25%が過剰労働による極度の疲労に陥っている。
- 62%の人はコロナ禍以前の仕事内容よりもリモートワークに魅力を感じ、家族との時間が増えた(51%)と回答している。
従業員は支援を求めており、人よりもテクノロジーに期待
- メンタルヘルスのサポートを人よりもロボットに頼りたいという回答は82%。その理由として、ロボットは「ジャッジメント・フリー・ゾーン(無批判区域、決めつけのない環境)」を与えてくれる(34%)、問題を共有する上での先入観のない感情のはけ口を提供してくれる(30%)などが挙げられている。
- 68%は、仕事上のストレスや不安を上司よりもロボットに話したいと回答し、80%は、ロボットをセラピストまたはカウンセラーとして利用することを受け入れている。
- 75%が、仕事でのメンタルヘルスの改善にAIが役立ったと回答。利点として、仕事の効率化に必要な情報の提供(31%)が挙げられている。
- AIは、過半数の労働者(51%)の週間労働時間の短縮と、より長い休暇の取得(51%)にも貢献することがわかった。回答者の半数以上が、AIは従業員の生産性(63%)、仕事の満足度(54%)、全体的な幸福(52%)を向上させていると考えている。
仕事でのメンタルヘルスの問題は消えず、無視できない
- 76%は、自分の会社が今以上に従業員のメンタルヘルスを守る必要があると回答。
- 51%の企業は、新型コロナウイルスの結果としてメンタルヘルスのサービスまたはサポートを追加したと回答している。
- 世界の従業員の83%が、メンタルヘルスのサポートのために自身の会社がテクノロジーを利用することを望んでいる。
- 労働者の84%がリモートワーク中に問題を感じている。最大の要因は、公私の区別がつかないこと(41%)およびメンタルヘルスの問題の深刻化への対応(33%)。
- 42%が職場でのストレス、不安、または極度の疲労によって生産性が低下したと考え、40%は、それが誤った判断の増加につながると考えている。85%は、仕事に関連するストレス、不安、極度の疲労は家庭生活に影響を与えると考えている。