ディップ総合研究所は、47都道府県内在住の18~69歳の男女のIT・エンジニア就業者1108人(正社員935人・派遣社員173人)を対象に、ITエンジニアの就業実態について調査した。調査期間は、2020年11月5日~2020年11月11日。
同調査では、全体の約4割が働き方改革による長時間労働の改善を実感していることが明らかになった。残業時間に関する質問では、全産業平均の所定外労働時間10.5時間に近い、またはそれよりも低い水準である「10時間未満」と回答した人は4割と最多。その一方で、「20時間以上」の回答は4割強、「45時間以上」の回答も1割弱となった。
希望する残業時間と実態のギャップを雇用形態別に見ると、正社員は「現在よりも少ない残業時間を希望」が半数であるのに対し、派遣社員は3割弱が「現在より多い残業時間を希望」と回答しており、回答者の雇用形態や給与形態によって残業に対する意識の違いが生じていることが分かった。
また、ITエンジニアとして就業する上で、全体の約8割が何かしらの不満を抱えていることが分かった。詳しく見てみると、「適正な評価・昇給制度がないこと」(32.3%)、「仕事内容・業務量に応じた十分な給与ではないこと」(31.8%)の回答数が多く、給与に関する項目が上位となっている。また、目まぐるしく進化し、日々スキルアップが要求される職種であることから、「常に新しい技術を学ぶ必要があり大変なこと」(13.5%)などの不満も散見された。
同調査から、働き方改革の推進による改善は見えるものの、不満を持つITエンジニアの離職防止や、定着に向けた取り組みが求められていることが明らかになった。今後ITエンジニアを雇用する企業は、働き手が感じている不満を認識し、多くのコミュニケーションを図るとともに、就業意向を高める働きかけや、環境づくりに力を入れていくことが必要となるだろう、とディップ総合研究所は述べている。