Uniposは、2021年2月に全国の上場企業に勤務する20代~50代従業員337名を対象として「仕事と心理的安全性」に関する意識調査を実施した。同調査はZENTechの取締役・慶應義塾大学システムデザイン・マネジメント研究科 研究員 石井遼介氏監修の下、心理的安全性を構成する“4つの因子”「話しやすさ」「助け合い」「挑戦」「新奇歓迎[1]」に関する設問を20個作成。回答結果から1~7ポイントで計測した“心理的安全性スコア”を算出し、現在の職場における設問結果と合わせて分析を行った。
「あなたは、この職場で働き続けたいと思っていますか?」という質問に対し、「当てはまる」「どちらかと言うと、当てはまる」と働き続けたい意向を回答した人の合計は278人で73.7%となった。「どちらかと言うと当てはらない」「当てはまらない」と離職したい意向を回答した人の合計は99人で26.3%となることから、約4人に1人が「離職意向がある」ということが分かった。
「あなたは、この職場で働き続けたいと思っていますか?」という質問に対し、回答群ごとに心理的安全性スコア(PSJ値)を確認したところ、「当てはまる」「どちらかと言うと、当てはまる」と回答した人のPSJ値は4.22ポイントであった。「どちらかと言うと当てはらない」「当てはまらない」と回答した人はPSJ値3.38ポイントと0.84ポイントも低いことから、離職意向の高い傾向のある人は心理的安全性が低いことが見て取れる。
また、この回答において、心理的安全性の4因子の中で最も違いが表れたのは「助け合い因子」で、「この職場で働き続けたくない人」のほうが「働き続けたい人」より、「助け合い因子」のPSJ値が1.5ポイントも低い。職場にトラブルや行き違いがあったとき、部門や役職を越えて相談・協力し合える体制や、犯人探しではなく問題を建設的に解決する雰囲気など、“助け合いのしやすい組織づくり”が離職意向の軽減につながっていることが分かる結果となった。
「あなたは、今の職場で働くことに満足していますか?」という質問をし、回答群ごとに心理的安全性スコア(PSJ値)を確認したところ、「当てはまる」「どちらかと言うと、当てはまる」と回答した人のPSJ値は4.19ポイントとなった。「どちらかと言うと当てはらない」「当てはまらない」と回答した人のPSJ値は3.68ポイントと、満足している人と比べて0.51ポイントも低い。職場満足度の高さと心理的安全性の相関が分かる結果となった。
また、この回答においても、心理的安全性の4因子の中で最も違いが表れたのは「助け合い因子」で、今の職場に「満足していない人」のほうが「満足している人」より「助け合い因子」のPSJ値が1.34ポイントも低い。“助け合いのしやすい組織づくり”が、職場の満足度にもつながっていることが明らかになった。
「職場内で「もっとこうした方が、仕事がうまくいく」と思った時、提案をしたいと思いますか?」という質問をし、回答群ごとに心理的安全性スコア(PSJ値)を確認したところ、「したいと思う」「どちらかと言うと、したいと思う」と回答した人のPSJ値は4.08ポイントであった。その一方で「どちらかと言うと、したいと思わない」「したいと思わない」と回答した人のPSJ値は3.81ポイント。“提案したい群”は、そうではない群と比べて0.27ポイント高いことから、職場での改善提案の意向が高い人は、心理的安全性がやや高いことが分かった。
また、この回答において心理的安全性の4因子の中で最も違いが表れたのは「挑戦因子」で、「改善提案を「どちらかと言うと、したいと思わないと回答」した人のほうが「したいと思うと回答」した人より「挑戦因子」のPSJ値が0.44ポイント低い。“挑戦のしやすい組織づくり”が、職場の改善提案率向上に有効であることが分かる結果となった。
注
[1]: 新しい視点や強み、個性を歓迎すること。