アクサ生命保険は、中小企業で経営者または役員を務める20歳以上の男女を対象に、「職場の健康づくりに関する意識調査2021」をインターネットリサーチで実施し、1000名の有効サンプルを集計した結果をまとめた。調査期間は2021年1月29日~2月2日。
自身が経営する会社に、身体の健康に問題を抱えている従業員がいると答えたのは52.5%。他方、心の健康に問題を抱えている従業員は29.0%となった。
また、身体の健康に問題を抱えている従業員と心の健康に問題を抱えている従業員の両方がいる割合を見ると、26.6%となった。
新型コロナウイルスの感染拡大による影響について、経営全般では、「悪い影響(計)」は67.6%だった。業種別に見ると、「悪い影響(計)」と回答した人の割合が最も高くなったのは小売業(82.6%)。
経営層と従業員とのコミュニケーションでは、「悪い影響(計)」は24.4%、従業員間のコミュニケーションでは「悪い影響(計)」は23.8%となった。
従業員規模別では、経営層と従業員とのコミュニケーションで悪い影響が出ている割合は、50~99人の会社で44.0%、100人以上の会社で38.8%。また、従業員間のコミュニケーションで悪い影響が出ている割合は、従業員規模が大きいほど高くなる傾向が見られた。
従業員の働く環境では、「悪い影響(計)」は36.4%。従業員の仕事のモチベーションでは、「悪い影響(計)」は36.9%となった。
また、従業員の身体の健康では「悪い影響(計)」が14.1%、従業員の心の健康では「悪い影響(計)」は26.3%という結果に。新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、社内コミュニケーションや働く環境の悪化が見られ、従業員の心の健康への悪影響も懸念される実情が浮き彫りになった。
自身が経営する会社で、健康経営に現在、取り組んでいるのは20.8%。中小企業の5社に1社が、健康経営を実践していることが分かった。
また、今後自社で健康経営に取り組みたいという意欲的な中小企業経営者は多いようだ。
健康経営に取り組んでいない理由は、「効果がわかりにくい」(37.4%)が最も高く、健康経営に取り組むことで実際にどのような効果が得られるのかが分からないと、実践段階に進めないと考えている人が多いようだ。
健康経営に取り組んだことによる変化は、「従業員の健康増進・生活習慣の改善」(64.4%)が特に高くなった。
また、健康経営に取り組むことで期待する変化も「従業員の健康増進・生活習慣の改善」(63.8%)が最も高くなった。
従業員の健康を改善する意欲は「高い(計)」としたのは79.6%、「低い(計)」は20.4%となった。
従業員の健康のために現在行っている取り組みは、「健康診断の実施または受診の勧奨」(52.5%)が最も高くなった。また、健康改善意欲が高い経営者でも20.5%が「従業員の健康のために取り組んでいることは特にない」と回答。従業員の健康改善に対し前向きに考えてはいるものの、まだ実行に移せていないという経営者は少なくないようだ。
50人未満の会社でのストレスチェックの実施は3割以下、産業医の設置は1割に満たない結果だった。100人以上の会社ではいずれも半数は上回ったものの、まだ十分ではない実態が明らかとなった。
自身が経営する会社で、従業員のために今後(または今後も)行いたい取り組みを聞いたところ、「健康診断の実施または受診の勧奨」(42.9%)が最も高かった。
ストレスチェックを実施していない理由は、「効果がわからない」(33.8%)と「実施方法がわからない」(27.8%)が特に高くなった。導入効果や導入方法に対する情報不足がネックとなっているようだ。他方、そもそもストレスチェックについて知らなかったという人も少なくないことが分かった。
また、産業医設置の目的は、「従業員の健康管理」(76.8%)という回答が突出して高かった。専門的な知識や技能を持つ産業医を置くことで、従業員の健康管理を徹底したいと考えている人が多いようだ。
健康経営の実践を継続的にサポートしてくれるサービスを「利用したいと思う(計)」が38.5%。健康経営の実践をサポートするサービスの活用に前向きな人は少なくないようだ。また、従業員規模が大きいほど、健康経営や従業員の健康管理に関するサービスの必要性が高まる傾向が見られる。