SaaSやゲームに関する開発業務の受託を行うシキラボは、スマートフォンでオンライン入社体験ができる採用マッチングサービス「入社体感DX」を開発した。同サービスは、アドベンチャーゲーム形式を採用しており、求職者が選択する回答に応じて、ストーリーが展開されていく。そのため、ゲーム感覚で、楽しく気楽に、仕事内容の理解を深められる。また、ゲームは適正診断の要素もあり、求職者と企業の双方にマッチング度などの結果を知らせることができる。
新型コロナウイルス感染症の影響で、就職説明会やOB訪問、インターン生などへの情報交換の機会が減少し、企業は自社の魅力や業務内容を求職者に伝えづらい状況になった。2020年9月に行った調査によると、2020年にオンライン採用を導入した企業は約90%、内75%の企業が2021年度以降も継続予定と回答している(ZENKIGEN調べ)。その理由としては、感染対策はもちろんのこと、説明会などの人件費や会場費の採用コスト削減、積極的な遠方地採用が可能になることが挙げられる。
しかし、オンライン採用が成功したといえるのは、採用後、「定着率が上がった」または「オフライン採用より離職率が上がらなかった」と定義した場合、結果が出るのはもう少し先になると考えられる。内閣府の調査発表によると、初職の離職理由が、「仕事が自分に合わなかったため」が43.4%で最も多く、「人間関係がよくなかったため」が23.7%、「労働時間、休日、休暇の条件がよくなかったため」が23.4%、「賃金がよくなかったため」が20.7%となっている。また、初職の離職理由の中で最も重要な理由についても、「仕事が自分に合わなかったため」が23.0%と最も多くなっている。
最も高い離職率理由「仕事が自分に合わなかったため」を減らすためには、企業は丁寧な情報発信をすることで、求職者が正しい理解を得られる環境を整えることが重要となる。一般的な会社説明動画は、企業情報やサービス内容、先輩社員の声など、会社全体像の概要を知ることができる。一方で、同採用サービスは、対話型のゲーム形式で、求職者に選択肢を提示し、行動を選ばせる。その選択肢の内容は、実際の業務や、トラブル発生時の対応に関する内容にするなど(カスタマイズ可能)、「自分ならどうするか」を考えさせることができる。動画にはない、参加型で業務内容のより深い理解を促せる。
また、同サービスは適性診断[1]も兼ねており、求職者の回答を分析し、双方にマッチング度を知らせる。求職者は、オンライン入社体験を通じて自分に合った企業を見つけることができ、企業は適性度が高い人材を優先的に採用することで、ミスマッチを防ぐ効果が期待できる。
現在、同サービスは24社の企業が導入予定という。将来的には日本の職業全てを体験できるようにし、職業選択の意思決定に役立つサイト化を目指す。
注
[1]: 適性診断は、シキラボの親会社である識学が開発した「ソシキサーベイ」を使用。ソシキサーベイは人物の優れた点と課題点を数値化し、適正な人材であるかどうかを判断する材料を提供する。