1. 事件の概要
会社を退職した社員(以下「原告」)が、会社(以下「被告」)に対し、時間外労働手当などの支払いを求めた事案です。今回は、この事件における争点の中から、事業場外みなし労働時間の適用の判断について取り上げて解説します。
(1)被告の概要
被告は、企業向けの会計管理や人事管理のソフトウェア開発・販売・サポートなどを事業としている会社です。
(2)雇用契約の締結
原告と被告は、平成24年4月1日入社とする雇用契約を締結しました。
雇用契約は、就業規則により、始業は午前9時、終業は午後6時、休憩時間は正午から1時間、所定休日は年末年始(12月30日から翌年1月3日まで)、国民の祝日、土曜および日曜、その他会社が定める臨時休日とされています。
雇用契約の内容となる就業規則(賃金規程)において、月の賃金は毎月末締め当月25日払いとして、支給されることとなっていました。