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人事労務事件簿 | #13

過労死 持ち帰り残業も労働時間として認定(東京地裁 令和2年3月25日)

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 今や多くの企業が、従業員の労働時間には注意を払っています。しかし、今回紹介する事案では、長時間にわたる勤務の実態を直視しなかった結果として、1人の従業員を過労死に至らしめました。その背後には、休みをいとわず働くことすら良しとする会社の風土が見て取れます。そうした状況を看過してはいけないことを、本稿を通じて再認識していただければと思います。

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1. 事件の概要

 本件は、コンピュータハードウェアおよびソフトウェアの販売等を行う株式会社(以下「A社」)との問で労働契約を締結し、営業業務に従事していた社員(平成26年3月死亡、当時54歳、以下「X」)の相続人(妻および子)の原告らが、Xが発症前2か月間において1か月当たり約100時間に及ぶ長時間労働に従事するなどにより、A社の業務に起因してくも膜下出血を発症し、死亡したものであり、A社に安全配慮義務違反があったと主張しました。

 そして、A社に対して、損害賠償等を求める事案です。

(1)A社の就業規則等の定め

 A社は、就業規則において、勤務時間を午前9時から午後0時までおよび午後1時から午後5時35分まで、休憩時間を午後0時から午後1時までおよび午後5時35分から午後6時までと定めています(就業規則15条、16条)。

 そして、休日を日曜日、土曜日、年末年始(12月30日から翌年1月3日まで)および国が定めた休日とする旨を定めていました(同規則18条)。

 また、社用外出中の就業時間について、通常の就業時間を勤務したものとみなす旨を定めています(同規則22条1項)。

 A社は、給与規程において、従業員に対し、基本給のほか、諸手当として超過勤務手当、家族手当、住宅手当、地域手当、役職手当、営業手当、通勤手当等を支給する旨を定めています(給与規程2条等)。

 超過勤務手当のうち時間外勤務手当は、所定の就業時間を超えて勤務した場合に、「(基本給+地域手当)÷155×1.25×時間外労働時間」の計算式によって算定した額を支給する旨を定めています(給与規程7条1項)。

 営業職については、時間外勤務手当の代わりに営業手当を支給する旨を定めています(同条2項)。

(2)Xの賃金等

 Xは、平成26年3月の時点で、A社から毎月49万1000円の賃金の支払いを受けていました。内訳は、基本給35万9000円、家族手当2万1000円、住宅手当3万6000円、営業手当7万5000円でした。

 このほかに、時間外割増賃金の支払いを受けたことはありませんでした。

(3)Xの業務内容、執務状況等

①Xの地位

 Xは、A社において、平成25年4月当時、A事業本部の事業部に属する第一営業部の担当部長(本部長、事業部長、部長に次ぐ役職)の地位にあり、Xの労働時間を管理する所属長の立場にあったのは、第一営業部長の上長であるF事業部長でした。

②Xの業務内容

 主として、CADやCAM等のソフトウェアやサーバー、ストレージ等のハードウェアの販売等でした。

 具体的には、顧客先を訪問して、どのようなシステムが必要かなどといった要望事項のヒアリングや、納品の立ち合い、トラブルの対応等をしていたほか、提案書、見積書、伝票等の書類の作成、社内システムヘのデータ入力、社内会議への参加等を行っていました。

③執務状況

 A社事業所におけるXの執務席は2階の大部屋にあり、同部屋では約100名の従業員が5名~10名ずつのグループごとに机を並べ、業務に従事していました。

 F事業部長は、Xの様子をすぐ見られる位置の席で執務していました。

④入退館

 A社事業所2階のXの執務席がある部屋の出入り口には、入退館の時刻を入退館カードに打刻する機械が設置されていました。

 Xは、A社事業所内で業務を行う際には、入退館時に同機械で時刻を打刻し、打刻を忘れることはほとんどありませんでした。

 そして、入館時刻を打刻してから5~10分間程度でパソコンを起動し、メールを送信するなどが多く、パソコンを終了あるいは、メールを送信してから数分以内に退館時刻を打刻していました。

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この記事の著者

坂本 直紀(サカモト ナオキ)

人事コンサルタント、特定社会保険労務士、中小企業診断士、坂本直紀社会保険労務士代表社員。就業規則作成・改訂、賃金制度構築、メンタルヘルス・ハラスメント対策社内研修などを実施し、会社および社員の活力と安心のサポートを理念として、コンサルティングを行う。 ホームページに多数の人事労務管理に関する情報、規定例、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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