積水ハウスは、男性育休の実態を調査し、その結果を発表した。同社は、9月19日を「育休を考える日」として記念日に制定し、2019年から企業で働く男性の育休取得実態を探る「男性育休白書」を発行。4回目となる今回は、全国の小学生以下の子どもを持つ男女を対象とした調査に加え、マネジメント層を対象とした調査も実施している。
調査の概要は以下のとおり。
- 実施時期:2022年6月7日~6月14日
- 調査方法:インターネット調査
- 調査委託先:マクロミル
- 個人調査対象:全国47都道府県別に、配偶者および小学生以下の子どもと同居する20〜50代の男女200人 計9400人
- マネジメント層調査対象:従業員10人以上の企業の経営者・役員、部長クラスの男女400人
調査の結果については、同社は以下のように述べている。
「男性の家事・育児力」全国ランキング2022 TOP20
「男性の家事・育児力」調査を都道府県別にランキングした結果、全国1位は「高知県」(223点)、2位「沖縄県」(208点)、3位「鳥取県」(189点)となった。
男性の育休取得率17.2% 前年から5ポイント上昇
男性の育休取得について聞くと(男性は自分自身の育休取得、女性は夫の育休について回答)、育休を取得した男性は全体の17.2%で、前年(12.2%)より5ポイント増加した。年代別で見ると、20代が24.9%と最も高く、4人に1人が育休を取得している。
リモートワークと男性の家事・育児時間に相関関係 女性の家事・育児時間は減少傾向
続いて、1日の家事・育児にかける時間を勤務日と休日とで聞いた。勤務日は男性1.55時間、女性4.73時間と、前年より男性は5.4分長く、女性は19.8分短くなっている。休日は男性3.43時間、女性7.42時間となり、前年より男性は16.2分、女性は35.4分短くなった。家事・育児の時間的な負担は女性が大きいものの、前年と比べ減少傾向がみられた。
女性の家事・育児時間が減少した理由として、リモートワークをする夫が家事・育児をしていることが要因として考えられる。そこで、男性の家事・育児とリモートワークとの関係を調べた。コロナ前と比べて家事時間の変化を聞くと、リモートワークをしない男性は57.6%が「変わらない」と答えたが、リモートワークをする男性では65.3%が「増えた」と答えている。育児時間についても同様で、リモートワークをしない男性は6割が「変わらない」(58.1%)のに対し、リモートワークをする男性は6割が「増えた」(61.5%)と答えた。
リモートワークをする時間が「増えた」男性の家事・育児時間を調べると、勤務日1.84時間、休日4.09時間と、男性の平均(勤務日1.55時間、休日3.43時間)より長く、夫のリモートワーク時間が「増えた」女性の家事・育児時間は、勤務日4.15時間、休日6.90時間と、女性の平均(勤務日4.73時間、休日7.42時間)より短くなっている。夫のリモートワークが、妻の家事・育児時間の時短化に貢献していることがうかがえる。
男性の育休取得、国の制度も勤務先の制度も認知率は上昇傾向
男女9400人に男性の育休に関する国の制度について聞くと、「利用した」7.1%、「利用していないが期間や制度利用の要件等は知っている」24.7%、「名前を聞いたことがある程度」47.8%となり、認知率は79.5%と前年(77.6%)よりやや高くなった。また、勤務先の制度については、「利用した」9.4%、「利用していないが期間や制度利用の要件等は知っている」22.2%、「名前を聞いたことがある程度」26.1%となり、認知率は57.7%と同様に前年(51.8%)より高くなっている。
男性の育休取得は、本人も周りの人も「不安」を感じてしまう
認知率は高まっているものの、男性の育休取得には不安がつきもののようだ。育休取得を検討した男性に、検討時に不安を感じたかを聞くと、61.1%が「不安を感じた」と答えた。「いつまで休むのかしつこく聞かれ、休みづらさを感じた」(岐阜県 34歳)、「男なのに育児休暇をとるのかと言われ悲しかった」(岩手県 38歳)などの経験談が寄せられた。
不安を感じるのは本人だけでなく、職場の上司や部下も不安を感じている。男性部下から育休取得を打診されたとき、上司の43.9%が「不安を感じた」と答えており、女性上司(33.6%)より男性上司(45.2%)の方が不安度が高くなっている。また、男性の同僚や上司が育休を取得した際に不安を感じた人は29.6%で、女性(19.3%)より男性(32.7%)の方が不安度が高めだった。男性の育休取得は、自分が取るときだけでなく、職場の男性が取るときにも不安が生じるようだ。
マネジメント層の8割が男性の育休取得に「賛成」「必要」も、前年より微減
マネジメント層400人を対象に、男性社員の育休取得に対する意見を聞いた。
男性の育休取得について聞くと、経営者・役員の74.0%、部長の77.5%が「賛成」と答え、経営者・役員の75.0%、部長の77.5%が男性の育休は「必要」と答えている。また、男性の育休取得を促進していると答えたマネジメント層に、男性社員に育休取得を推奨しているかと聞くと、83.6%が「推奨している」と答え、部下の男性社員から育休取得の申し出があった場合、90.3%が「取得させることができる」と答えている。いずれもスコアは高く、マネジメント層は男性の育休取得の推進・浸透に積極的だが、前年と比べると割合がやや低下。法改正もあり、男性社員の育休取得を推奨してはいるものの、本心からは取り組めないという複雑な思いのマネジメント層も少なくないようだ。
「会社規模」「社員負担」、男性社員の育休取得促進のハードルに
男性社員の育休取得制度を「促進していない」と答えたマネジメント層203人に理由を聞いた。すると、「企業規模が小さい」(43.3%)、「休業する社員以外の社員の負担が大きい」(31.0%)、「社員が少なく休業社員の代替手当てができない」(26.6%)などの理由が上位に挙げられた。
悩みの種は「業務への支障」、前年よりも業務優先が課題に
男性社員が育休を取得したときの気持ちを聞いた。「人手不足で会社の業務に支障が出る」が76.0%と最多で、「同僚には取得してもらい家庭も大切にしてほしい」(75.5%)を僅差ながら上回った。前年は「業務に支障」(73.8%)より「家庭も大切に」(75.0%)の方が高かったことから、長引くパンデミックや不安定な国際情勢による不況感が、社員を思いやる前に業務を優先せざるを得ないというマネジメント層の苦しい心の内が感じられる。
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