キャリア自律度の高い若手層
現在の10~20代にあたる若手層は「Z世代」と呼ばれ、これからの労働市場の中心となり、採用はもちろん、入社後の育成・定着においてもメインターゲットとなってくる世代です。そんな彼らは、本連載第4回で述べたように、数々の社会不安の中で生きてきた経緯などもあり、「将来が見通しづらいいまの社会では、もはや一度入ったら絶対安泰な会社などなく、自らの成長こそが真の安定につながるのだ」という価値観を持っていて、「自分のキャリアは自分の責任でつくっていかなければ食いっぱぐれてしまう」「自分のキャリアは自分で決めたい」というキャリア意識の高い世代でもあります。
こうしたキャリア意識の高さは「キャリア自律」と呼ばれ、20~50代の調査では、若ければ若いほどその度合いが高いことが分かっています。
キャリア自律とは、自分のキャリア形成をこれまでのように企業にゆだねるのではなく、自分自身が主体的にキャリア選択や能力開発を行っていくことです。会社と社員は切っても切れぬ家族的な共同体で一度入れば自分の人生(キャリア)を任せてしまうのではなく、あくまで自分の人生の主人公は自分であるという意識です。
考えてみればごく自然な考え方でもありますし、先行き不透明な現代でいつ経営が傾くか分からない会社側にとっても、社員から依存されない相互自律的な労使関係はむしろ都合が良いともいえるでしょう。
しかしマネジメント層、特に経営者の中には心理的な抵抗がある方が多いようです。