Uniposは、2024年3月決算上場企業2295社全ての有価証券報告書を調査し、日本企業における人的資本経営の現状を分析した。
45%の企業が、法令に記載された開示要件を満たしていない
同調査では、2024年3月決算上場企業の有価証券報告書を、独自基準でレベル1〜5に格付けした。
人的資本開示は「人材育成方針」「社内環境整備」の戦略・指標・目標の3点セットと、女性活躍推進法に定められた比較可能指標の開示が法律により求められている。しかし、今回の調査では45%の企業が要件を満たしていない「レベル1」の企業であることが判明し、半数近くが人的資本開示に熱心ではないことが分かった。
全体平均は1.99点。昨年度の1.78点からわずかな改善
有価証券報告書における人的資本開示を独自に格付けした結果、本年は5点満点中全体平均1.99点という結果になった。昨年の1.78点からは改善したものの、伸び幅はわずかで、さらなる改善が必要な状況であることが分かる。
開示2年目はグロース市場の充実度が向上し、スタンダード市場に逆転
プライム、スタンダード、グロースの各市場別分析を実施。昨年はスタンダード市場のほうが開示充実度は高かったものの、今年はグロース市場に逆転される結果となり、人的資本経営への関心の薄さが目立っている。また、プライム市場の中にも依然として法令条件を満たしていない企業が2割以上存在し、課題が山積みである現状が浮き彫りになった。
業界別ランキング、トップは「保険」、ワーストは「倉庫・運輸関連」
業界別で格付けを実施したところ、トップ業界とワースト業界の平均に約2ポイントの開きがあることが分かった。トップ3は「保険業」「銀行業」「空運業」、ワースト3は「倉庫・運輸関連」「不動産業」「ガラス・土石製品」となった。
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