1on1がうまくいかず、ストレスが増えるマネージャー
第1回のテーマは、「部下の話ばかり聴く1on1は、効果的なのか?」です。
結論からいうと、そんなことはまったくありません。
部下の話を聞くばかりだと、マネージャーが想定する展開になりづらく、うまく会話を引き出せない自分や、なかなか思い通りに話してくれない部下に対してイライラしてしまいます。1on1がうまくいかなくなるだけでなく、マネージャーにとって大きなストレスになってしまうのです。
一般的な1on1は、マネージャーの「最近調子どう?」「何か困っていることある?」といった質問から始まります。しかし、「特にありません」「現状で問題ないです」 といった返事が多く、「上司が期待している話」を返してくれる部下は少ないのが実情です。(後述しますが、これは部下が悪いわけでも、上司が悪いわけでもありません。)
部下が自分で「1on1にふさわしい議題」を提案できれば、このようなストレスを抱えなくて済むのですが、そのような機転の利く部下は非常に少ない。
「とにかく部下の話を聴かなきゃ」と思いこんでいるマネージャーは、「全然話してくれないなぁ……。でも、自分のしたい話をしてはいけないし、どうすればいいんだろう」と、部下が本音を話してくれないことで、ストレスが増大してしまいます。
「自分が部下の立場だったときには、上司からこんなに気を遣われていたことなんてなかったのに、自分はそれをしないといけないなんて、辛いなぁ」と感じる人もいるでしょう。こんなことに時間を使うくらいなら、もっと別の仕事に時間を使いたいと考えるマネージャーがいても不思議ではありません。
いくら制度があるからといって、このような状態が続く中で、1on1を継続することにはたして意味があるものでしょうか。
まずは、そもそもなぜこのような状態になるのでしょう。次ページでは、その背景を整理します。