入社後の高いパフォーマンスを予測する選考プロセス
それでは、最も良い、理想的な選考プロセスとはどのようなものか。高柴氏がその例として挙げるのが、グーグルの採用選考プロセスだ。グーグルは選考プロセスについて独自の哲学を持っており、その取り組みや成果についてはラズロ・ボック著『ワーク・ルールズ!』にも記されている。高柴氏は同書でも触れられているフランク・シュミットとジョン・ハンターが調べた19の評価方法のうち、5つについて紹介した。
入社後のパフォーマンスの高さを予測する「決定係数」が高いのは「ワークサンプルテスト」(0.54)であり、「職務経験年数」(0.18)や「学歴・年数」(0.10)はかなり低い結果となっている。ただし、ワークサンプルテストは採用された場合に担当する職務に似た仕事を1〜2日かけて実際にやってみるというもので、候補者には大きな負担となる。また、属人化を回避するために同じ質問をする「構造化面接」の決定係数は0.51で、自由に会話する「非構造化面接」の0.38よりも高い。

実際のところ、世界的なIT企業(ビッグテック)は次のような流れで選考を行っているという。
まずは45分程度の電話面接でスクリーニング。それから4〜5回の面接(各1時間)を実施し、候補者のコーディングスキルやコンピュータサイエンスの知識、問題解決能力などを評価(スコア付け)する。そして最後に「ハイヤリングコミュニティ(採用委員会)」にて、面接官から提出された「質問の内容」「候補者の回答」「面接官の評価」をもとに最終的な合否を決めていく。このとき、面接官のキャリブレーション(評価の共有やフィードバックの調整)などを通じて、評価の質を担保している。なお当然ながら、面接官はハイヤリングコミュニティに参加できない。

このような選考プロセスは理想的だ。しかし、実際に行おうとすると候補者はもちろん、面接官や採用担当者にかかる負荷も大きい。面接官はトレーニングを受けなければならないし、試験課題の作成などもたいへんだ。一般の企業でここまで実施していくことは現実的とはいいがたいだろう。
そこでハイヤールーが提案しているのが、ビッグテックの選考プロセスの軽量版といえる「スキル面接」だ。グーグルでは面接中に課題を出していっしょに解くというが、それでは面接官が事前に準備するものが非常に多く、深掘る要素を定めるのも難しいだろう。スキル面接では事前にコーディング課題を出しておき、面接の中で深掘っていくという手法でスキル(ハードスキル・ソフトスキル)を見る。
