ALL DIFFERENTおよびラーニングイノベーション総合研究所は、企業の人事責任者・担当者を対象に、人事部として抱えている課題や、今後取り組みたいことなどの実態調査を行った。
同調査では、従業員数が1~100人の企業(以下、100人以下企業)、101~300人企業(以下、101~300人企業)、301~1000人企業(以下、301~1000人企業)、1001人以上の企業(以下、1001人以上企業)に分けて分析した結果を紹介する。
人事部として取り組みたいテーマ1位「人材育成・組織開発」
人事部として取り組みたいテーマを質問した結果、「人材育成・組織開発」と回答した割合が、100人以下企業は87.9%、101~300人企業は86.7%、301~1000人企業は83.3%、1001人以上企業は92.3%と、どの従業員規模でもトップになった。特に、1001人以上企業は9割以上が回答している。
「評価制度」に関しては、100人以下企業、101〜300人企業の半数以上が回答し、従業員規模の小さい企業において回答率が高まる傾向にあった。一方、「労務管理」や「経営との連動性の向上」については、従業員規模の大きい企業において、回答率が高くなる傾向にあることが分かった。
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人材育成・組織開発を推進するうえでの課題
人材育成・組織開発を推進するうえで具体的にどのような課題があるのか聞いたところ、100人以下企業、101~300人企業、1001人以上企業は「現場社員の現業が忙しく、育成に割ける時間(育成施策を受ける時間)がない」の回答が最も多く、それぞれ55.2%、70.8%、66.7%が回答した。301~1000人企業では「人材育成・組織開発を推進するメンバーの人手、時間が不足している」が56.0%で最多となった。なお、従業員規模に関わらず、人や時間のリソース不足に関する課題がトップを占める結果となっている。
また、従業員規模別による違いがあり、100人以下企業では「効果的な人材育成・組織開発の方法が分からない」「人材育成・組織開発がレベルアップしていない」と、取り組み方や解決方法に関する項目が、そのほかの企業に比べて高くなっている。一方、101〜300人企業、301~1000人企業、1001人以上企業では「部署によって育成への意識や取り組みに差がある」と半数以上の人事が回答し、従業員規模が大きいからこそ直面する課題が表出した。
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人事部の関心テーマ、300人以下企業では「採用」、301人以上企業は「教育研修体系の構築・運用」がトップ
人事部が関心を寄せているテーマは何かを調査した結果、100人以下企業、101~300人企業は「採用」、301~1000人企業、1001人以上企業は「教育研修体系の構築・運用」がそれぞれトップとなった。
従業員規模別に比較すると、従業員規模が大きい企業ほど「タレントマネジメント」「障がい者雇用」「HRテクノロジーの導入」「ウェルビーイング、健康経営」への関心が高いことが分かった。また、301人以上の企業では「女性活躍推進」「人材アセスメント」「リスキリング」への関心が他の規模に比べて高い結果となっている。
大企業ほど関心を寄せるテーマが多い傾向が見られた一方で、1001人以上企業は「メンタルヘルス対策」「コンプライアンス対策」「経営計画の策定」への関心が他の規模の企業に比べて低いことも明らかになった。
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離職防止・定着のために取り組みたいこと
人事部が社員の離職防止・定着のために取り組みたいことを質問した結果、100人以下企業は「育成制度の構築」が46.1%、101~300人企業は「育成制度の構築」「評価制度の見直し」がともに50.5%、301~1000人企業は「育成制度の構築」「上司・管理職への教育(ハラスメント対策など)」がともに56.5%、1001人以上企業は「上司・管理職への教育(ハラスメント対策など)」が53.3%でトップとなった。
さらに1001人以上企業は、「育成制度の構築」「評価制度の見直し」「給与・報酬制度の見直し」が、その他の企業と比べて回答割合が低めの結果となったものの、「キャリアパスの明確化」「社内文化・組織風土の改善」は高いことが分かった。
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なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査対象者:同社サービスを活用している企業の人事責任者・人事担当者
- 調査時期:2024年10月~2025年2月
- 調査方法:Webでのアンケート調査
- サンプル数:302人
-
属性:
-
業種
- 鉱業、採石業、砂利採取業 1人(0.3%)
- 建設業 6人(2.0%)
- 製造業 66人(21.9%)
- 電気・ガス・熱供給・水道業 3人(1.0%)
- 情報通信業 79人(26.2%)
- 運輸業、郵便業 10人(3.3%)
- 卸売業、小売業 42人(13.9%)
- 金融業、保険業 8人(2.6%)
- 不動産業、物品賃貸業 5人(1.7%)
- 学術研究、専門・技術サービス業 14人(4.6%)
- 生活関連サービス業、娯楽業 1人(0.3%)
- 教育、学習支援業 6人(2.0%)
- 医療、福祉 2人(0.7%)
- 複合サービス事業 2人(0.7%)
- サービス業(他に分類されないもの) 40人(13.2%)
- その他 17人(5.6%)
-
企業規模
- 100人以下企業 102人(33.7%)
- 101~300人企業 109人(36.1%)
- 301~1000人企業 46人(15.2%)
- 1001人以上企業 45人(14.9%)
-
業種
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