「良いアウトソース」で企業競争力を高める一手を
HRオペレーションをアウトソースするメリットは、データ整備の観点だけにとどまらない。「給与計算担当者・人事システム・人事システム担当者の固定費を削減できる」「社員が増えても社内体制を見直す必要がなくなる」「給与計算担当者の退職や育児休暇があっても、人材を探す心配がなくなる」など、多くの実務上の利点がある。
だが一方で、「アウトソースには、『良いアウトソース』と『悪いアウトソース』があり、期待できる効果が大きく変わってくるので、見極めには注意が必要だ」と、濱野氏は警鐘を鳴らす。
良いアウトソースとは、業務を標準化して、品質を担保しながらスケールメリットを生む、属人化を排除した仕組みである。逆に、悪いアウトソースは、1社専属の体制で、業務が属人化して品質にばらつきがあり、スケールメリットも生まれないものだ。
アウトソースは人事データ活用の基盤にもなるため、「業務の継続性やスケールメリットを生み出せる体制かどうか」という観点で選定すべきなのである。
ペイロールのサービスは、このような考え方のもと、給与規定のような個社対応が求められる業務は「カスタムサービス」として提供し、年末調整のように一律対応が可能な業務は「シェアードサービス」として分離することで、業務の継続性とスケールメリットを両立させている。

このように、BPOとSaaSを一体化した仕組みにすることで、人事部門の業務効率化だけでなく、分析元となるデータの集計からアウトプットまで、一気通貫で対応可能なサービスを実現している。
AIも活用して業務負荷をさらに軽減
また、濱野氏はペイロールの新サービスである「AI給与検索サービス」にも言及。「AIによって給与情報や社員情報の検索を自然言語で行い、レポート作成まで対応できるサービスだ。人事担当者が自然言語で指示するだけで、必要なデータを自動で集計・可視化できる」と自信をのぞかせた。
AI給与検索サービスでは、部門別や拠点別などの条件を加えることで、AIが自動的に参照すべきデータを判断し、項目一覧やグラフとしてアウトプットしてくれる。従来のように、システム設定を繰り返す必要がなく、業務負荷を大幅に軽減できる点が特長だ。
ペイロールはこれまで30年以上の実績があり、コンビニエンスストア、回転寿司チェーン、自動車メーカー、半導体メーカーなど、260社110万人の給与計算を担ってきた。国内随一のエンドユーザー数を誇る同社だからこそ、確かな実績に基づいて人事部門をあるべき姿へと改革する支援ができるのだ。
「グループ内でシェアード会社を保有するケースを除き、日本国内の大手企業で給与計算のアウトソーシングを導入している企業は、現時点でわずか12%にとどまっている。だが、将来的な労働人口の減少を見据えると、今後、アウトソーシングの波が加速するのは明白だ。企業競争力を高める手段の1つとして、給与計算のアウトソーシングをぜひご検討いただきたい」と語り、濱野氏はセッションを締めくくった。