Indeed Japan(以下、Indeed)は、「週休3日」や「週4日勤務」の正社員求人動向、および求職者による仕事検索動向について調査した。
「週休3日」の言及求人割合は、2023年以降に明確な増加傾向
同社が運営している求人サイト「Indeed」上で、「週休3日」や「週4日勤務」に関連するワードを含む正社員求人の掲載割合を調査した。2020年1月以降の求人全体に占める「週休3日」関連の言及求人の推移を見ると、徐々に割合が高まってきている様子が分かる。特に、2023年に入ってからはおおむね右肩上がりで推移しており、2025年5月時点では、2020年5月と比較して5年間で5.3倍に増加している。
求人内で「週休3日」の言及が増加してきた背景には、国や自治体の動きも影響しているという。2021年6月に閣議決定した骨太方針では企業への選択的週休3日制度の推進方針が打ち出されており、2024年4月以降各自治体でも週休3日制度の導入や推進が広がり始めているとのことだ。また、慢性的な人手不足が続く中で、週休3日制を打ち出すことが採用競争力の向上や多様な人材の確保につながる手段として、企業側に浸透しつつあることも要因のひとつだと同社は述べる。
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特にリモートワークが難しい職種で「週休3日」への言及が目立つ
正社員求人の職種別に「週休3日」言及求人と「リモートワーク」言及求人の割合を分析した。44職種における言及割合の平均は、「週休3日」は1.6%、「リモートワーク」が9.6%だった。
これに対し、「医療」「歯科」「ドライバー」といったリモート勤務が難しい職種においては、「リモートワーク」言及求人割合が平均よりも低い一方で、「週休3日」は平均を大きく上回る傾向が見られた。
- 医療(リモートワーク:1.5%、週休3日:5.9%)
- 歯科(リモートワーク:2.1%、週休3日:4.8%)
- ドライバー(リモートワーク:1.5%、週休3日:4.3%)
一方で、「ソフトウェア開発」や「情報システム」などのリモートワークが定着している職種では、「リモートワーク」言及求人の割合が高く「週休3日」は非常に低い傾向にある。
- ソフトウェア開発(リモートワーク:47.7%、週休3日:0.3%)
- 情報システム(リモートワーク:31.4%、週休3日:0.0%)
リモートワークによる柔軟な働き方の提供が困難な現場職や対面職種においては、勤務日数を減らすことで柔軟性を確保しようとする動きが広がっているという。人材確保や定着率向上を目的とした企業の対応や、長時間労働の是正といった課題への取り組みもあり、「週休3日」制度が、現場型職種における柔軟な働き方の新たな選択肢として定着し始めていることがうかがえる。
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求職者の「週休3日」検索割合も増加傾向、2025年5月には5年間で3.6倍に
求職者のニーズの変化を探るため、Indeed上での「週休3日」や「週4日勤務」関連キーワードの仕事検索割合を調査した。2020年7月以降「週休3日」関連キーワードの検索割合はおおむね右肩上がりで推移しており、2025年5月時点では、2020年5月と比較して5年間で3.6倍に増加している。
コロナ禍を通じて働き方に対する価値観や柔軟な働き方の選択肢が広がったことに加え、国や自治体における「週休3日制」の導入推進や企業における制度導入の広がりにより、正社員でも「週休3日」という働き方があることを知る人が増加し、それとともに「週休3日」の働き方に興味関心を抱く人が増えているという。
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求職者の「週休3日」への関心が高いのは首都圏、居住地域での制度導入が影響している可能性も
都道府県別の「週休3日」関連の仕事検索割合を分析した結果、検索割合が高い上位5都県は、千葉県、埼玉県、東京都、神奈川県、奈良県だった。上位4都県は企業や人材が集中する首都圏であり、多様な働き方の浸透や関心の高さが影響しているという。
なお、上位5都県のうち、千葉県、埼玉県、東京都、奈良県では自治体職員向けに「週休3日」制度やそれに類する制度が導入済または導入予定とされている。特に1位の千葉県は、2024年6月から全職員を対象に選択式「週休3日制」を開始しており、全国に先駆けて制度を導入した地域のひとつである。こういった居住地域の自治体における「週休3日制」の導入やそれに関する報道なども、求職者の制度認知や興味関心の向上に影響した可能性があるとしている。
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なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査主体:Indeed
-
調査対象期間:
- 求人動向:2020年1月~2025年5月
- 仕事検索動向:2020年1月~2025年5月
-
調査対象:
- 求人動向:日本のIndeed上に掲載されている全求人に対する「週休3日」関連ワードに言及している求人の割合(100万件あたりの求人数、3ヵ月移動平均)
- 仕事検索動向:日本のIndeed上の「週休3日」に関連するキーワードを含む仕事検索割合(100万件あたりの検索数、3ヵ月移動平均)
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