ALL DIFFERENTとラーニングイノベーション総合研究所は、管理職531名を対象に「管理職意識調査」を行った。
管理職の理想のリーダー像
まず、課長クラス以上の管理職(以下、管理職)に、どのようなリーダー像が理想か質問をした。管理職のうち、1~3年目の課長クラスを「新任管理職」、4年目以上の課長クラスを「ベテラン管理職」、部長クラスを「幹部候補」と3つのステージに分類し、ステージ別に違いがあるか見ていく。
- 新任管理職:1~3年目の課長クラス
- ベテラン管理職:4年目以上の課長クラス
- 幹部候補:部長クラス
結果、新任管理職の上位は、「部下に寄り添い支えるリーダー」が32.4%、「目的達成のための道筋を立てるリーダー」が19.9%、「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」が14.7%となった。「部下に寄り添い支えるリーダー」はほかステージより突出し、幹部候補の約3倍の回答割合となっている。
ベテラン管理職の上位は、「部下に寄り添い支えるリーダー」が22.0%、「目的達成のための道筋を立てるリーダー」が19.5%、「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」が17.9%。順位は新任管理職と同様だが、回答割合がより分散する結果となった。
幹部候補の上位は、「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」が27.6%、「目的達成のための道筋を立てるリーダー」が24.5%、「目指すべき方針やビジョンを掲げるリーダー」が15.3%と続いた。特に、「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」は、ほかステージと比較して突出している。
3つのステージを比較すると、「部下に寄り添い支えるリーダー」と「高いプレーヤー能力で部門をけん引するリーダー」は、ステージが上がるにつれて割合が低下する傾向が見られた。一方で、「強い責任感を持って部門の成果を創出するリーダー」と「目指すべき方針やビジョンを掲げるリーダー」はステージが上がるにつれて割合が上昇する傾向が見られる。
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リーダーシップの発揮に「ポジティブな影響」を与えた経験
次に、現在の管理職としてのあり方やリーダーシップの発揮に「ポジティブな影響」(成長につながった、自信を得たなど)を与えた経験はどのようなものだったか質問した。各ステージの上位3つを抜粋して比較する。
新任管理職では、「直属の上司からのフィードバック」が最も高く29.4%、次いで「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」と「上司の業務の代行」が同率で27.9%となった。
ベテラン管理職では、「顧客からのハードな要求の対応」が34.1%、「取引先との難しい交渉」が33.3%、「部門横断のプロジェクトリーダーの経験」が26.8%と続いた。
幹部候補では、「取引先との難しい交渉」が46.9%、「顧客からのハードな要求の対応」が38.8%、「部門横断のプロジェクトリーダーの経験」と「全社に影響する重大なトラブルの対応」が同率で34.7%となった。
ステージが上がるにつれ、「顧客からのハードな要求の対応」「取引先との難しい交渉」「部門横断のプロジェクトリーダーの経験」など、他部門・社外との連携経験がポジティブな影響を与える傾向が見られた。
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リーダーシップの発揮に「ネガティブな影響」を与えた経験
次に、現在の管理職としてのあり方やリーダーシップの発揮に「ネガティブな影響」(やる気が下がった、自信をなくしたなど)を与えた経験について質問した。各ステージの上位3つを抜粋して比較する。
新任管理職では、「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」が33.8%、「特になし」が25.7%、「組織の一員としては望ましくない状態の部下との対峙」が19.1%となった。
ベテラン管理職では、「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」が26.8%、「組織の一員としては望ましくない状態の部下との対峙」が17.9%、「部下からの厳しい意見」が16.3%と続いた。
幹部候補では、「特になし」が29.6%、「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」が22.4%、「組織の一員としては望ましくない状態の部下との対峙」が19.4%となった。
どのステージにおいても、「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」と「組織の一員としては望ましくない状態の部下との対峙」は、ネガティブな影響を与えている傾向が見られる。特に「プレーヤー業務のひっ迫による多忙」は、ステージが低いほどネガティブに感じる割合が高くなった。一方で、どのステージにおいても「特になし」の割合は10%以上となり、新任管理職と幹部候補は約4人に1人以上が回答している。
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なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査対象者:同社が提供する管理職向け研修の受講者
- 調査時期:2025年5月20日~7月17日
- 調査方法:Web・マークシート記入式でのアンケート調査
- サンプル数:531人
-
属性:
-
業種
- 農業、林業 4人(0.8%)
- 建設業 46人(8.7%)
- 製造業 120人(22.6%)
- 電気・ガス・熱供給・水道業 4人(0.8%)
- 情報通信業 103人(19.4%)
- 運輸業、郵便業 9人(1.7%)
- 卸売業、小売業 58人(10.9%)
- 金融業、保険業 22人(4.1%)
- 不動産業、物品賃貸業 18人(3.4%)
- 学術研究、専門・技術サービス業 17人(3.2%)
- 生活関連サービス業、娯楽業 8人(1.5%)
- 教育、学習支援業 1人(0.2%)
- 医療、福祉 4人(0.8%)
- 複合サービス事業 3人(0.6%)
- サービス業(他に分類されないもの) 78人(14.7%)
- その他 36人(6.8%)
-
企業規模
- 50人以下 40人(7.5%)
- 51~100人 72人(13.6%)
- 101~300人 230人(43.3%)
- 301~1000人 125人(23.5%)
- 1001~5000人 61人(11.5%)
- 5001人以上 2人(0.4%)
- 分からない 1人(0.2%)
-
業種
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