中途入社のマネージャーには、役員自らオンボーディング
——中途入社のマネージャーに、カルチャーを理解してもらうのは容易ではないと思います。オンボーディングでは、どのような取り組みをされているのでしょうか。
中途入社のマネージャーに対して、半年間のオンボーディング支援プログラムを用意しています。プログラムの初期段階では、まず自身が担当する組織の「ミッション」「ビジョン」「戦略ゴール」の3点を策定してもらいます。そのうえで、入社3ヵ月目と6ヵ月目に役員との面談を設け、進捗状況を共有するともに、マネジメントの考え方やカルチャーに対する理解をすり合わせるようにしています。
その際、ラクスの行動様式を浸透させるうえで重要なのが「RAKUS LEADERSHIP PRINCIPLES(RLP)」です。
——RLPについて詳しく教えてください。
RLPは、リーダーが持つべき11の行動指針を定めたもので、当社におけるマネジメントの“型”ともいえるものです。

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中途入社のマネージャーにも、半年間のオンボーディング期間中にこのRLPを理解し、実践してもらうことで、組織としての行動の再現性を高めています。さらに、RLPは単なる行動指針にとどまらず、メンバーからマネージャーを評価する際の基準にもなっています。
当社では、全メンバー層に対し自部署のマネージャーのRLP実践レベルを問うアンケートを定期的に実施しています。これにより、マネージャー自身が自らの行動を内省するとともに、メンバー側も「自分ならどうするか」を考える機会になっています。こうした取り組みが、カルチャーの醸成を支える仕組みの1つになっています。
——なるほど、マネージャーはRLPを理解するだけでなく、メンバーの声を聞きながら行動を改善していけるということですね。
そうですね。中途入社の人には、まず「ラクスのやり方」や「考え方」を知って実践してもらうことが、大規模組織をさらに成長させていくために大事だと考えています。もちろん、これまでの経験を活かしてもらうことも大歓迎ですが、それはまず当社の価値観や行動規範を知ったうえで、という順序が大切だと考えています。
ラクスの“思考の型”「ユニークネス」の浸透施策は?
——一方で、カルチャーの浸透には、行動だけでなく「考え方」や「思考」も重要になってくると思います。これは、どのような仕組みで対応されているのでしょうか。
当社では、社長の中村をはじめ役員全員が創業以来大切にしてきた思考の型、いわばDNAを「ユニークネス」として言語化しています。

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冒頭でも申し上げたとおり、社員数が増えると、各人ごとに判断基準がバラついてしまい、時には意図しない判断が下されることもあります。だからこそ、どの組織でも同じ価値観と基準で意思決定できるよう、このユニークネスを全社で共有し、浸透させています。
具体的な取り組みとして、年に一度開催する全社アワードで「ユニークネスやRLPを体現した人」を表彰しています。カルチャーに沿った考え方や行動をアワードで発表することにより、社員1人ひとりがカルチャーを自分事として捉えられるよう工夫しています。
ややもすれば、企業のカルチャーというのは捉えどころのないものになりがちです。しかし、きちんと言語化ができているからこそ、「それってラクスらしいよね」とか、逆に「それはちょっと違うかも」といった声かけを日常的に行える。この“伝え続ける文化”こそが、カルチャー醸成の土台を支えていると感じています。