生成AIの波は“過ぎた”? シリコンバレーで目立つAgentic AI
松岡佐知(以下、松岡) まず、現地の空気感から伺いたいです。日本では生成AIの活用が盛んにに議論されていますが、幸田さんは「シリコンバレーではAgentic AIが目立つ」とお話しされていました。
幸田敏宏氏(以下、幸田氏) シリコンバレーにいると、生成AI(Generative AI)の波はいったん「キーワードとしては」落ち着いた印象があります。もちろん生成AIは根底にありますが、去年の終わりごろからAgentic AI(エージェント型AI)という言葉を見る機会が非常に増えました。イベントやハッカソンでも、Agentic AIが前面に出てきています。
幸田 敏宏(こうだ としひろ)氏
NRI IT Solution America, Inc. Branch Manager
一般社団法人 ピープルアナリティクス&HRテクノロジー協会 上席研究員
2004年 株式会社 野村総合研究所に入社。流通企業向けのシステム設計・構築を担当。2009年 人事部に異動し、採用や人事システム管理に従事。2013年 先端ITの活用を共創する「NRI未来ガレージ」を牽引。2016年 北米現地法人にて先端技術調査。うち、2017年~2018年 MIT Media Labの客員研究員。2021年 ITアナリストとして先端技術の動向を調査。2024年より北米現地法人にて生成AI関連の技術動向を調査。
著書として、『AI羅針盤』(中央経済社)、『ITロードマップ2025年版』(東洋経済新報社)ほか多数。
松岡 Agentic AIは「AIエージェント」と同じようで違う、という整理でしたよね。
幸田氏 はい。AIエージェントを“主体性を持った機能の塊”だとすると、Agentic AIはそれを「業務に使える形でシステムとして動かす」考え方です。チャットボットのように「入力したら1回応答する」ではなく、目標を与えると完了するまで自律的タスク遂行を続ける。ここがポイントです。
「Stop Hiring Humans」——AI SDRが象徴する“顧客接点”の変化
松岡 スライドの「Stop Hiring Humans」という看板は衝撃的でした。
幸田氏 そうですね。営業領域で、見込み客開拓を担うSDR(Sales Development Representative)をAI化する動きが進んでいます。現地では、フリーウェイ沿いの看板で「Stop Hiring Humans」といった強い言葉を掲げる企業も見かけました。もちろん完全置換を断言しているわけではなく、営業開拓のような業務なら「80%ぐらい自動化できる」といった主張です。
具体的には「最適なタイミングでニュースなどを捉え、勝ち筋パターンを自動生成して、刺さる営業トークでアプローチする」と。いわゆる“営業の型”がデータ化される領域は進みやすい。顧客接点の一部が大きく変わり得ます。

