3.要点解説
(1)パワーハラスメントについて
労働施策総合推進法では、次のとおり規定しています。
(雇用管理上の措置等)
第30条の2 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
上記の内容は、パワハラについての雇用管理上の措置義務を定めていますが、規定内の「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されること」が、いわゆるパワーハラスメントの定義になります。
(2)今回のケース
裁判でも、上記の定義に基づき、今回のケースを次のとおり判断し、パワーハラスメントを認めています。
- Bが、Xに対し、平成31年2月1日から同年3月上旬までの間に、勤務時間中に業務と無関係に本を読んでいると断定するなどして就業規則違反を理由とする警告等をしたこと、Xがメールを転送した理由を一方的に断定して非難したこと、合理的な理由なく遅延証明書に承認印を押して返却しなかったこと、合理的な理由なく業務連絡の在り方について反省文の提出を指示したことは、いずれも職場内の優位性を利用し、適正な業務の範囲を超えて、Xに精神的苦痛を与えるものであると認められ、パワーハラスメント行為に当たる。
- 本件退職勧奨①および②ならびに本件訓戒処分は、事実確認等も不十分なまま、行われたものであり、社会通念上相当なものとはいえず、職務上の地位優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的苦痛を与えるものとして、パワーハラスメント行為に当たる。

