配慮とエンパワーメントのバランスを両立する仕掛け
上原 具体的に考えている施策はありますか。
中井 1つの鍵は社内人材の流動化です。たとえば、子育てや介護で一時的に働き方を調整しなければならない従業員が、社内の別の職種で柔軟に働き、状況が落ち着いたら営業職へ戻れるよう支援するような仕組みをつくっていきたいです。
現場からは「異動希望を出すことが上司への裏切りのように感じる」という声もあるため、一時的な異動がキャリアの後退ではなく将来につながる成長機会だという位置付けを明確にしていく必要があります。
また、社員が安心して常に発信できる環境をつくり、それにできるだけ早く応えられる仕組みを持つことも重要です。先日も、2人目のお子さんが生まれた社員を配慮のつもりで内勤業務へ配転したところ、「本人は全く望んでいなかった」とすれ違っていた話を聞きました。配慮が逆効果にならない仕掛けをきちんとつくっていかなければならないと感じています。
上原 「マミートラックの壁をどう越えるか」という課題については、配慮とエンパワーメントのバランスが重要ですよね。
上原 達也(うえはら たつや)氏
XTalent株式会社 代表取締役CEO
愛媛県今治市出身、神奈川県在住。京都大学教育学部卒業後、株式会社Speeeに入社し、SEOアナリストからキャリアをスタートした後、人事部門を経て社長室での業務に従事。 2017年、タクシー配車アプリを提供するJapanTaxi株式会社(現・GO株式会社)に入社し、国土交通省との実証実験やtoBの新規サービス立ち上げ等を担当。2019年7月にXTalent株式会社を創業、代表取締役に就任。
採用力向上にもつながるインクルーシブな企業文化
上原 これらの取り組みが採用にもインパクトを与えているという実感はありますか。
中井 すごく実感しています。入社した方々とのラウンドテーブルで「なぜ当社を選んでくれたのか」を聞くと、「インクルーシブな組織づくりの取り組みがあったから入社した」とおっしゃっていただけることが多いです。多様性へのスタンスに共感して入ってくれるパーパスドリブンな人材が増えると、会社が目指す姿にさらに近づけると思っています。
木下 私は2014年に中途入社しました。その当時と比べると、今は本当にインクルーシブな職場環境ができていると実感しています。私自身も入社後に結婚し、育休も2回取得しました。上司に自分の状況を話せる環境があることは本当に大切です。今後は、「こういうことを言ったら評価が下がるのでは」という不安もしっかり取り除いていきたいと思っています。
上原 先進的な環境を実現されながら、さらに「自社をもっと良くしたい」という想いが伝わってきました。ありがとうございました。

