リクルートマネジメントソリューションズは、日経BPと共同で実施した「ジョブ型人事制度の運用実態調査」の分析結果を発表した。
調査によると、ジョブ型人事制度導入企業の約2割が「成果実感なし」と回答した。導入目的で最も多かったのは「成果による処遇のメリハリ」(53.9%)、次いで「年功的な賃金からの脱却」(45.4%)、「採用力強化」(42.1%)が挙げられた。複数目的による導入が多いが、いずれもおよそ4割の企業が選択しており、人材マネジメント全体への変革を期待している様子がうかがえる。
「採用力強化」や「キャリア自律の促進」を目的に掲げた企業でも成果実感は一様ではなく、成果実感の肯定・否定に25ポイント以上の差が見られた。制度単体では効果が表れにくく、制度外施策との連携が求められている。たとえば、成果実感と満足感に乖離が発生しており、「導入して良かった」と感じている一方で具体的な成果にはつながっていないケースが多い。
また、等級軸が1つの企業より2つ以上設けている企業のほうが成果実感が高い傾向があり、「キャリア自律の促進」では最大で20ポイント以上の差が出た。階層や職種に応じた制度の設計・運用が効果に結び付きやすいと考えられる。
実施率が高い施策は「職務評価による職務等級格付け」(45.1%)や「キャリア研修」(41.2%)、「管理職評価力向上研修」(39.9%)だった。一方、「退職勧奨」(8.8%)や「異動後のサポート」(17.8%)といった施策は実施率が低く、骨格となる仕組みは整いつつあるが、運用面のさらなる充実が課題となっている。施策数が多いほど成果実感も高い傾向が確認され、7つ以上施策を実施している企業では、肯定群が約7割に上る一方、施策数が少ない企業との差は最大で55ポイントに達した。
ジョブ型人事制度運用最大の障壁として「人事部の人員不足」(34.3%)と「管理職の知識・能力不足」(29.4%)が挙げられた。「人」が運用のカギを握っていることが浮き彫りとなり、制度は導入できても運用できていない実態が明らかとなった。今後の優先課題は人事部門の機能強化と管理職の能力開発であり、「運用できる組織づくり」が重要であるとしている。
今後の施策意向を見ると「スキル評価」や「360度評価」といった「人材の見える化」へのニーズが高まっている。職務記述書の作成・公開など定義型施策は見直し・廃止意向も高まり、「その職務に適した人材の把握・配置」への注力に移行しつつあるのが特徴だ。
リクルートマネジメントソリューションズ シニアコンサルタント 森本伊織氏は、今回の調査結果について「制度の有無よりも、職務記述書の活用や職務と処遇の連動、管理職の定期的なフィードバックといった運用の質が成果実感を分けた」と総括。「他社事例を参考に仕組みを導入しても運用が難しいのは、人事部や管理職の権限や能力が追いついていないため」としたうえで、「ジョブ型制度の成果に向けては、運用できる組織づくりと、スキルや適性などの人材データの蓄積と活用が、今後の重要な課題になると考える」と述べている。
調査概要
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