「人は減る、でも物流は止められない」 “人が増えない前提”で変革に挑むギオンの人事DX
サーベイ回答率が90%!現場を変える運用術
ここで松栄氏は、ギオンの取り組みの中でも注目すべき点として、専用のパソコンを持たない従業員が多い現場でありながら、エンゲージメントサーベイの回答率が90%に達していることを紹介した。この数字の背景について、須藤氏は各拠点に共有デバイスを用意し、デジタル操作に不慣れな従業員には拠点長が使い方を直接指導する体制を整えたと説明した。加えて、未回答者に対する徹底したリマインドという地道な活動を続けたという。
さらにサーベイを単なる調査で終わらせないため、渋谷氏は結果を社内の表彰制度と連動させていることを明かした。
「単にスコアが高いチームを表彰するのではなく、前回と比較して『これに取り組みます』と宣言した項目が上がったチームや、良い取り組みをみんなで頑張っていると見て取れるチームを役員で選考して表彰しています」(渋谷氏)
一方で、スコアが振るわなかった部門に対しては、人事が現場に入り、従業員とともに課題の原因と対策を考える伴走型の支援を行っているという。須藤氏は、点数が低いことをネガティブに捉えるのではなく、「このスコアが上がったら、エンゲージメントが1番高い部署だと求人のときにアピールしましょう」とポジティブに働きかけ、現場主導の自発的な改善行動を促すことが重要だと強調した。
セッション終盤の質疑応答でも、サーベイのネガティブな回答への対応について悩みが寄せられた。サーベイを繰り返すうちに、「前にも言ったのに変わらなかった」といった意見が増えるケースは少なくない。
これに対し須藤氏は、「会社としてどういうふうに向き合うかを示すだけでも違うと思います。取り組みを始めたり、経営が課題として捉えていることを伝えるなどして、ゼロ回答にしないことを心がけています」と答えた。
続いて渋谷氏は、サーベイ内に「前回のサーベイのときにフィードバックがありましたか」という質問を設けていると回答。取り組みがなされていないというデータが出た場合は、人事から拠点長へ直接アプローチし、改善行動を促しているという。
人口減少とテクノロジーの進化が交差し、変革が迫られる物流業界。2030年に向けて、人が増えることを前提とした経営から脱却し、データと人を最大限に活かす経営へと転換できるか。本セッションで述べられたギオンの挑戦から学ぶことは多い。
この記事は参考になりましたか?
- イベントレポート《人材活用》連載記事一覧
-
- 「人は減る、でも物流は止められない」 “人が増えない前提”で変革に挑むギオンの人事DX
- 日本企業の人的資本指標の測定・開示実態が明らかに! 高成長率企業ほど取り組みが進む
- 2023年度の人的資本開示に向けて企業人事が今、押さえておくべきこと
- この記事の著者
-
井上奈美香(HRzine編集部)(イノウエ ナミカ)
1994年宮崎県生まれ。京都女子大学文学部国文学科を2017年に卒業し、株式会社翔泳社に新卒として入社。メディア事業部の広告課に配属される。2020年8月に人事向けWebメディア「HRzine」の立ち上げに参画し、HRzineの営業責任者に従事。2023年4月よりHRzine編集部に所属。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

