すべてが100点でなくても構わない、むしろバランス
田中翔也氏(以下、田中):エイチームでは、新卒採用で80~100名、中途採用では150~200名採用を目指しています。これは、現在の売上・利益を3〜4倍規模にすることを見据えた中長期的な経営戦略を実現するため。この採用人数を多いと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、エイチームでは既存事業の拡大や多角的な新規事業の立ち上げのほとんどを、インハウスでの自社開発で進めています。そのため、優秀なエンジニアの増員はまさに急務なんですよね。
岡﨑大輝氏(以下、岡﨑):だから、高い技術力を持ったエンジニアは大歓迎です。技術は高ければ高いほど嬉しい。それが率直な希望です。技術力の高いエンジニアは、質の高い解決策を数多く出してくれますから、解決までのアプローチが早い。つまり、高速に開発のPDCAを回せます。一方、そうでないエンジニアは解決の選択肢が少なく、技術の引き出しもないのでなかなか議論も発展しない。解決までのリードタイムが長くなってしまう。
とはいえ、採用選考において、技術力のみを重要視するわけではありません。技術力はあくまで、数ある選考基準の一要素。エイチームのように自社のサービス開発を行うエンジニアにとって最も重要なのは総合力だと考えています。
総合力があるとは、技術力が高いだけでなく、企画力やチームで仕事をするためのコミュニケーション力、新しい知識や技術を貪欲に吸収して成長する意欲などを持っていることをいいます。すべてが100点でなくても構いません。これらがバランスよく備わっている方を採用したい。
そもそも事業会社において、エンジニアリングとは目的や目標ではなく、「目標を最速で実現させる手段・役割」です。また、事業やサービスの企画はエンジニア一人ではできません。営業やマーケター、デザイナーとともに一緒に考えて実行します。みんなで考えたことを「カタチ」にすること。それがエンジニアの役割です。だから、エンジニアにも技術力だけでなく、総合力を求めます。
田中:総合力の基準については、エンジニアの採用だけでなく、新卒・中途採用共通で設けています。この共通の選考基準は、エイチームが大切にしている経営理念「みんなで幸せになれる会社にすること」「今から100年続く会社にすること」を実現させるための人材要件をまとめたもの。「マインド(価値志向性)」「対人特性(対人に関する志向性やスタンス)」「行動特性(行動の志向性)」「思考特性(思考の志向性)」などのセクションに分類し、それぞれに要件定義をした上で、選考時に見極めるべきポイントを整理してあります。
面接ではあらゆる角度から質問して、この選考基準を満たしている人物かどうかを確認します。採用選考に関わる社員はこれを事前に共有し理解を深めてから、学生や採用候補者と会うようにしています。