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2024年12月6日(金)13:00~15:30

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データサイエンティスト覆面談話室 | #1

データサイエンティストが成果を上げる会社のあり方と、彼らが成長するための条件とは――STANDARD 石井大智氏

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 徐々に増えているとはいえ、需要に対してまだまだ希少な人材であるデータサイエンティスト。彼らを自社に迎え、活躍してもらうにはどうすればよいのでしょう。そんな疑問の答えを求め、今日も覆面インタビュアー、マスクド・アナライズがデータサイエンティストを訪問します! 今回は、早稲田大学在学中にAI・データサイエンス分野の人材育成を手がける株式会社STANDARDを立ち上げた、同社代表の石井大智氏に、データサイエンティストが成果を上げられる環境づくりやキャリアパスの考え方などを教えていただきました。

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全社的なチームビルディングは不可欠

マスクド:石井さんはAI・データサイエンス分野の人材育成事業で学生起業されていますが、起業のきっかけは?

石井:AI開発の現場でエンジニアをしていたとき、人材育成を土台にしなければAIはエンドユーザーに届かないと気づいたことが起業のきっかけです。

 AIそのものに興味を持ったのは、東大にいた先輩に「一緒にAIについて学んでみないか」と誘われたときです。当時は「AlphaGo」が話題になっていた時期でしたね。それまでは大学で経営工学を学んでいたため、コンサルになったりするのかなと漠然と考えていました。

 興味を持って勉強しようと思ったAIでしたが、当時は大学では教えてくれる先生がいない状況でした。AIを扱う授業や研究室も空いていません。

 そこで、ビジネスの現場でデータサイエンティスト(あるいはAIエンジニア)として働きながらスキルを身につけていくことに決め、複数のAI系のスタートアップで医療系のAIを開発する仕事に就きました。開発現場には実データやデータサイエンティスト、ビジネス課題など大学にはなかったものがたくさんあり、大いに学びになりました。またこの時期、似た境遇の学生を集め、先ほどの東大の先輩が代表を務める形で、東大人工知能開発学生団体「HAIT(ハイト)」を立ち上げました。

 AIエンジニアとしての経験は、起業のリスクを受け入れるための自信にもなりました。

石井 大智氏
石井 大智(いしい だいち)氏
株式会社STANDARD 代表取締役CEO&Co-Founder。
早稲田大学創造理工学部経営システム工学科にて、製造業における生産ライン効率化のためのデータ分析を学ぶ。その後、複数のベンチャー企業にて、AIエンジニアとしてDeep Learningを用いた医療系の画像認識AIの開発業務に従事。AIエンジニアとして活動する中で、AIを開発できる、あるいは利活用できる人材の不足が深刻であることを痛感し、法人向けにAI人材の育成や採用に関するサービスを提供する株式会社STANDARDを設立する。サービス提供から1年半で、製造業を中心に累計200社の人材育成や採用支援を行っている。

マスクド:データサイエンティストやエンジニアとして仕事を学ぶとき、何が大切だと思いましたか。

石井:まずは、データ分析のプロジェクトの全体像を知ることが重要です。データを集めてどんな事業を展開するか、どこがネックなのか、どんな技術で解決して、どう使ってもらうか。現状把握からシステムの利用シーンを想像するところまでできるようになると、活躍の幅を広げられるかと思います。

マスクド:技術をどう業務に活かすかを、エンジニア自身もきちんと考えないといけませんね。また、そうする中で実際に課題に感じたことはありますか。

石井:特に大きな課題だと思ったのは、データサイエンティストのパフォーマンスは周囲の環境によって大きく制限されてしまうということです。たとえば、データ分析の文化が根づいていないところでは、データ活用の方針が決まっていなかったり、データの収集や前処理が片付かなかったりしています。すると、AIのモデル構築に強みを持った人は、そこでパフォーマンスを出すことができません。実際、そういった事例も見てきました。

 仮に新しい部署を立ち上げてデータサイエンティストを入社させても、環境が整理されていなければ成果につながらず、宙に浮いた存在になってしまいます。そうして数年間、経験や実績が積めないのは本当にもったいないです。

マスクド:データサイエンティストを目指す方は会社選びも大事ということですね。では、人材を受け入れる会社側へ提言はありますか。

石井:経営層や管理職の方がAIリテラシーを身につけることが、まずは重要です。その上で、事業として何をすべきなのか、AIを用いた場合何ができるのか、どんな人材にどんな仕事をしてもらうべきか、プロジェクトはどう進んでいくかに見通しを立てる必要があります。特にAIは最初の段階では精度が低く、使いながら徐々に賢くしていかなくてはいけません。このことについて理解がないと、現場での利活用もおぼつかないでしょう。

マスクド:現場を含めた社内だけでなく、一緒に開発する外注を含めた認識のすり合わせが大事ですね。では、データサイエンティストが働きやすい環境作りとして、企業が取り組むべきことには何がありますか。

石井:まずは土台としてチームビルディングを絶対にやってほしいです。1人のエンジニアに任せず、開発者、マネージャー、現場のユーザーまで一体になって、AIを活用するために現場の知見をエンジニアに提供することが大事です。

マスクド:理想としては、社長から現場まで全員が一体になることが望ましいですね。

石井:そうですね。最初から全員とはいかなくても、10人弱のチームを構築し、何か1つ小さな成果を出して、その成果をアピールすることによりデータ分析の文化を徐々に広めていけるのが理想的な流れです。

マスクド:しかし、データサイエンティストチームを立ち上げても、転職などで人材が定着しないケースもあります。それを防ぐためにはどうすればいいでしょう。

石井:まずは、データサイエンティスト1人にプロジェクトを丸投げしないことですね。

 データ分析のプロジェクトは非常に繊細なもので、周囲の協力がちょっとでも足りないとすぐに頓挫します。たとえば、データサイエンティストに現場の知見が共有されていない場合などもそれにあたります。私もエンジニアのときに、与えられた医療画像に対して十分な知識がなく、そのデータ含まれる有用な情報を取りこぼしてしまいました。

 これまでのシステム開発との最大の違いは、こうした複数部門の綿密なコミュニケーションなしには成り立たないところにあると思っています。外注して終わり、とはまずなりません。これを意識しなければ、優秀な人材の離職にもつながりかねません。

マスクド:現場から経営陣までデータ分析を他人事にせず、担当業務の経験やノウハウをデータサイエンティストと共有することで、初めて業務に役立つ流れが完成する。

石井:おっしゃるとおりです。ただし、そのためには現場の方々にもAIリテラシーが必要になります。弊社の事例でいえば、製造業において生産ラインを現場で見ている方にそれを学んでもらい、技術部門とのディスカッションを促しています。こうした流れができれば、データ分析のパフォーマンスは爆発的に上がるでしょう。

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マスクド・アナライズ(マスクド・アナライズ)

空前のAIブームに熱狂するIT業界に、突如現れた謎のマスクマン。現場目線による辛辣かつ鋭い語り口は「イキリデータサイエンティスト」と呼ばれ、独自の地位を確立する。「データサイエンス界の東京スポーツ」を目指し、ネットとリアルを問わずAIやデータサイエンスに関する啓蒙活動を行なう。お問い合わせはメールア...

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