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2024年2月1日(木)12:00~17:40

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イベントレポート | 組織課題

社内の断絶を解消する即効策は世の中のどこにもない――「適応課題」だと知ることが組織改善の第一歩


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 ある統計調査によれば、これまでの世代間ギャップ以上に、「上司 対 部下」「部門 対 部門」そして「経営 対 現場」といった立場間に生じる溝が、より深刻になってきているという。経営戦略論・組織論の研究者で、著書『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』でも知られる埼玉大学経済経営系大学院 准教授 宇田川元一氏は、「こうした組織間の対立を果たす鍵は対話にある」と語る。本稿では、2月12日にリクルート アカデミーホール(東京・千代田)で開催されたイベント「組織の変革を妨げる『3つの溝』の解消法とは」(主催:Unipos株式会社/株式会社リクルートマネジメントソリューションズ)で行われた宇田川氏の講演をお届けする。

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対話力が世界的企業の復活を可能にした

 まず宇田川氏は、経営戦略の観点で見た日本企業の課題として、「カネ余り」現象を例に挙げる。現在の日本企業の内部留保は、2018年時点で約460兆円とされるが、この状況は経営戦略論的に見ると、決して好ましい状態ではないという。

 「たしかに帳簿上は、既存のキャッシュインのある事業が順調な証拠ですが、いつまでもこれが続くわけではない。企業が将来にわたって継続していくには、現在の利益を成長途上の事業分野に回して育てていく、つまり新事業への投資が必要です。日本企業の利益が余っているのは、この成長分野への投資が滞っている証拠であり、決して経営戦略の視点からは喜べることではありません」(宇田川氏)

日本企業の「カネ余り」は新事業への投資(赤矢印)ができていない証拠
日本企業の「カネ余り」は新事業への投資(赤矢印)ができていない証拠
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 では、この状況をどう打開していけばよいのか。宇田川氏は経営戦略論の大家として知られるロバート・A. バーゲルマンの、インテルの戦略研究を例に挙げる。インテルはもともとDRAM(メモリ)メーカーだったが、1980年代には日本や韓国のメーカーに追い抜かれてしまった。だが一方で、現場の技術者は素材のシリコンウェハーを使った新しい事業開発を自主的に進めていた。その成果の1つがCPUだったという。これがある程度形になった時点で、現場から中間管理層に「可能性があるので、もっと本格的に取り組みたい」と提案され、管理職は予算をやりくりしながらさらに育てていった。それが最終的に、当時の経営者のアンディ・グローブによるインテルの戦略転換の決断につながり、同社を世界的な地位に押し上げた。

 後にグローブは著書の中で、「どんなに天才的な経営者であっても、現場からのアイデアがなければ新しい戦略の種は見つからなかったし、ミドルがなんとか資源をやりくりして、それを育ててくれなければ、新しい戦略選択肢もなかった」と述懐していると宇田川氏は語る。

 「このことからも、現場サイドにとっては、自分たちの新しい事業機会の気づきをいかにトップマネジメントがゴーサインを出せるレベルまで生き延びさせて届けるかが重要な課題であり、それには違う立場の人々=経営者や管理職に、自分たちのアイデアが意味あるものだと気づかせ、動かしていく取り組みが欠かせません。この事例を見ても、立場や視点の異なる相手に語りかけ、理解を促していくスキル、つまり『対話力』こそが、イントレプレナーシップで最も大切な力だといえます」(宇田川氏)

 もちろん、経営者にもその力は必要だ。両者の対話力が成功を生んだ例としては、クラウドへの転換でさらなる成長を果たしたSAPがあるという。

宇田川 元一氏
宇田川 元一(うだがわ もとかず)氏
埼玉大学経済経営系大学院 准教授。
2006年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、2007年長崎大学経済学部講師・准教授、2010年西南学院大学商学部准教授を経て、2016年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科(通称:経済経営系大学院)准教授。社会構成主義やアクターネットワーク理論など、人文系の理論を基盤にしながら、組織における対話やナラティヴとイントラプレナー(社内起業家)、戦略開発との関係についての研究を行っている。専門は、経営戦略論、組織論。2007年度経営学史学会賞(論文部門奨励賞)受賞。著書に『他者と働く─「わかりあえなさ」から始める組織論 』(NewsPicksパブリッシング刊)。

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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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