パーソル総合研究所は、幸福経営学に関して高い知見を有する慶應義塾大学の前野隆司研究室とともに、「はたらく人の幸福学プロジェクト」の成果を発表した。
同プロジェクトでは、はたらく幸せ・不幸せをもたらす普遍的な7つの要因を特定し、それらを測定する新たな診断ツール「はたらく人の幸せ/不幸せ診断」を開発した。この診断ツールを用いることで、はたらく幸せ・不幸せをもたらす要因を自分がどの程度持っているかを計測できるという。
この診断ツールのポイントは次のとおり。
- 定性、定量調査により、どうすれば「幸せ」にはたらけるのか、どうすれば「不幸せ」にはたらかずに済むのかについて、十分に説明できる要因(以下、因子と呼ぶ)をそれぞれ7つ特定した
- 「はたらく人の幸せの7因子」は、①自己成長、②リフレッシュ、③チームワーク、④役割認識、⑤他者承認、⑥他者貢献、⑦自己裁量
- 「はたらく人の不幸せの7因子」は、①自己抑圧、②理不尽、③不快空間(はたらく環境の不快さ)、④オーバーワーク(過重労働)、⑤協働不全、⑥疎外感、⑦評価不満
- 1つの因子につき3つの設問を設け、7件法(全くそう思わない~とてもそう思うの7段階)の回答を基に得点化(全くそう思わない=1点~とてもそう思う=7点)し、回答者の幸せ・不幸せといった幸福度を測る【下図】
- はたらく幸せ・不幸せをもたらす要因の状態が定量的に可視化できるため、どうすれば「幸せ」にはたらけるのか、どうすれば「不幸せ」にはたらかずに済むのかが分かるツールとして利用できる。これにより、自組織の制度やマネジメントの在り方の検討、個人のキャリア開発やワークライフバランスに活かすことができる
- 従来の研究では幸福感が高いか低いかだけを測定していた(1軸モデル)。今回共同開発した診断ツールでは、幸せ・幸せをもたらす要因がどの程度あるかを計測することで、はたらく人の心理状態をより正確に表現できるようにした(2軸モデル)
なお、回答で得られた得点がどのような水準にあるかの参考として、全体平均・職種別・業種別の得点も併せて公表された。