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インタビュー | 人材採用企画

なぜ新卒採用の企画を人事部ではなく新規事業開発部門がやっているのか――ディップ 進藤圭氏・小林宥太氏《後編》

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 「バイトル」「はたらこねっと」などの求人情報サイト運営や人材サービス事業で知られるディップ株式会社。同社では営業以外の新規人材の募集採用を、人事部ではなく新規事業開発部門である次世代事業統括部が主体となって行っている。本稿では、同社 商品企画本部 次世代事業統括部の進藤圭氏と小林宥太氏にその理由・ねらい・成果を尋ねていく。その後編となる今回は、2020年度から開始した採用企画「リモートインターン」で得られた成果や、採用企画の立案・改善で重要なポイントなどを聞いた。

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本記事の前編はこちらから。

参加したくてもできない学生にチャンスを

――「マッハインターン(前編参照)」の後継企画として2020年度から始まった「リモートインターン」。こちらはオンラインで受講できる講義形式のインターン事前学習プログラムとして提供されていますが、この企画のねらいはどんなものですか。

進藤圭氏(以下、進藤):リモートインターンは、自宅でも地方でも受講できるWeb学習と、Web会議ツールを使ったオンラインアドバイス、さらに有給インターンシップ選考や新卒選考がセットになったプログラムです。現在はコロナ禍のためにオンラインが当たり前になっていますが、企画自体はすでに2019年から動き出していました。

 数年前から各企業でインターンシップ制度が一斉に始まったのですが、どこも会社は大都市にあるので、地方や海外にいる学生が参加できないんですね。せっかく才能やスキルがあるのに、お互いにもったいない。そこで彼らにも参加してもらえる、いい方法はないかというところから企画がスタートしました。そうしたら、たまたま新型コロナウイルスが来て、タイムリーなプログラムになってしまったのですが。

 もう一つの背景は、マッハインターンをやってみて、参加型のインターンシップというのは、学生にとってハードルが高いことが分かったのです。2時間で実際に開発を体験すると聞いて、「え、自分で手を動かすの? もうちょっと気軽に参加できる企画はないの?」みたいな人も結構いた。それなら、まずはオンライン講義で勉強しながら慣れてくださいという意図もありました。

進藤 圭氏
進藤 圭(しんとう けい)氏
ディップ株式会社 執行役員 商品開発本部 次世代事業統括部長
早稲田大学を7年かけ卒業後、ディップに新卒入社。営業職、ディレクター職を経て、看護師人材紹介「ナースではたらこ」事業化をはじめとし、40件以上のサービス企画に参加。現在は新規事業責任者だけでなく投資担当として年間15社程度の投資を担当。文科系な活動では『いちばんやさしいRPAの教本』『いちばんやさしいDXの教本』(インプレス刊)を出版。

――現在(2020年7月時点)は「データサイエンス」「ビジネスデベロップメント」「DX/ITコンサルタント」「ビギナーズエントリー」の4講座が開講中ですが、これらのテーマを選んだ理由は?

進藤:第1弾として考えていたのは「データサイエンス」でした。最初にこれを選んだ理由は、このテーマをオンサイトでやるのは相当ハードルが高いので、とりあえずは課題形式でちょっとかじってみようと思う人たちを集めようと。

 また、そもそも当社が、データサイエンスのニーズが高い企業だということもあります。当社では現在「Labor force solution company」という新しいビジョンを掲げていますが、この実現には非常に多くのデータサイエンス人材やAI人材が必要になります。加えて、学びの需給ギャップ=学びたい人と教えられる人の人数差が非常に大きい職種だということ。つまり、この先需要が増えることは確実なのに、教えられる人が圧倒的に少ない。以上から、オンライン型の学習プログラムに大きなニーズがあるのではないかと考えたのです。

 ちなみに、現在リモートインターンは、僕らがいる次世代事業統括部だけにとどまらず営業やマーケティングなどの職種まで広げ、全社的なインターンシップとして展開しています。というのも、実際に来てもらうとなると、当然、部門ごとに受け入れられる人数には限りがありますが、リモートならば何人でも大丈夫です。おかげで従来はインターンシップの定員を30名とか絞っていたのが、1000人単位で実施できるようになりました。

募集と能力評価の両方が可能なプログラム

――リモートインターンの企画は、どうやって作っていますか。

進藤:第1回の「データサイエンス講座」では、実際にデータサイエンスを手がけている社員に企画や問題設定をお願いしました。またその際には、彼が自分で一緒に働きたいと思う人材のレベルを設定して、その人物に向けて企画を練っていきました。ちなみにその社員は入社2年目ですが、とても優秀なデータサイエンティストです。

――小林さんは、リモートインターンにはどのような関わり方をしていますか。

小林宥太氏(以下、小林):毎日応募が来るので、その対応ですね。現在、全体で1000名以上から応募が来ていますが、プロフィールを見てこれはと思う人材がいれば、リモートインターンの案内はもちろん、別枠で一度会ってお話ししましょうといったアプローチもします。そのために個別のプロフィールを詳しく見ないといけないので、応募者全員に参加案内の一斉メールを出して終わりではありません。常に目を配っていて、良さそうな人がいたら声をかけてスカウトしたり、進藤に報告してフォローしてもらったりしています。

 また、リモートインターンには非常に大勢の方が応募してくれますが、実際に参加した場合、きちんと最後までやり通せるのか。そういう根気や粘り強さは、プロフィールからだけでは判断しきれません。そこを実際に試して見極める上でも、リモートインターンは良い機会になります。

 オンライン学習の場合、単に教えてもらうのでなく、自分で積極的に取り組まなくてはいけません。またスケジュールに合わせて、いつまでに何をやるか自分で決めて進めないとカリキュラムがこなせない。そういう自己管理能力も見ることができます。効率よく多数の応募者を集められるし、一方ではそうした能力の見極めもできる点で、リモートインターンは画期的なプログラムだと感じています。

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この記事の著者

工藤 淳(オフィスローグ)(クドウ アツシ)

出版社や制作会社勤務の後、2003年にオフィスローグとして独立。もともと文系ながら、なぜか現在はICTビジネスライター/編集者として営業中。 得意分野はエンタープライズ系ソリューションの導入事例からタイアップなど広告系、書籍まで幅広く。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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