グローバルな市場から能力・人柄で優れた人材を採用
――まずはザ・プラント社の事業について、そしてヴァリンさんが日本で起業するに至った経緯を聞かせてください。
ザ・プラントの創業は2005年で、独自のECプラットフォーム、CMS、その他商取引関連のアプリケーションのカスタマイズ開発を行っています。システムの開発・提供だけでなく、運用やコンサルティングも担っており、顧客企業の事業に伴走し、ビジネス課題の解決に寄与することをミッションとしています。
当社は私にとって2つ目の会社です。1つ目の会社は、名古屋で大学講師をしているときに立ち上げました。日本にいる外国人向けの情報サイトを運営し、私は開発やシステムの運用管理などを担当していたのですが、ユーザーが増えたこともあり、教職を辞して注力することにしました。ただ、だんだんと自分のドメインであるプログラミングに特化した事業をやりたくなったので、1社目を退いてザ・プラントを起業したというわけです。
――現在、どんな方が働いていらっしゃるのですか。
東京本社に勤務する14名の中で、日本国籍のスタッフは4名です。そのうち1名は外国で育った帰国子女、1名はインターナショナルスクールでさまざまな国籍の子どもたちと一緒に修業、残り2名のみが日本で日本の教育を受けて育ちました。ほか10名は、米国、タイ、韓国、中国、オーストラリアの出身者です。ちなみに、私は米国人です。さらに、中国オフィスに中国人スタッフが35名在籍し、オーストラリアに1名常駐しています。
意図的に外国籍の人を雇おうとしたわけでなく、私のネットワークに日本にいる外国人が多かっただけだと思います。1人目は1社目の会社から来てもらいました。他の人についても、私が直接知っていた人もいれば、知人に紹介してもらった人もいます。中国オフィスの責任者についてはLinkedInを通じてですし、中国人スタッフの大学時代のつながりから、中国・清華大学などから新卒で採用したこともあります。
なお、採用にあたっては国籍を一切意識したことはなく、あくまでスキルや人柄にフォーカスして決めています。設立から15年が経ちますが、じっくりと時間をかけて人を増やしてきたこともあって、ミスマッチはほぼなかったですね。
そして、日本企業では珍しいことかもしれませんが、再雇用者も多くいます。当社に務めた後、「もっと勉強したくなったので学校に戻りたい」「友人とスタートアップに挑戦することになった」と、さまざまな理由から退社したものの、再び戻ってくるケースですね。これまで8名くらいが、そうした再雇用者なのですが、全体で約50名と考えればかなり割合は高いほうなのではないでしょうか。戻ってくるのは、会社の居心地がいいからだと自負しています。
――多国籍組織となって、メリットを実感される場面などはありますか。
まず1つ目はインターナショナルに人材を集められることでしょうか。日本でも優秀なエンジニアは争奪戦です。しかし、国籍を問わなければ、より多くの候補者の中から優秀な人を選ぶことができます。そして2つ目は、ワールドワイドな顧客への対応がしやすいことです。当社の顧客には多国籍企業や海外取引をするインターナショナルな活動をしている企業が多く、私どももさまざまな国籍の関係者と連携することが欠かせないのですが、そうした場合にもコミュニケーションに困りません。また、メンバーそれぞれが多様な価値観や生活習慣を持っているので、アイデアや視点が多様であることも事業に生かされていると思います。