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インタビュー《組織やチームの編成・運営》| グループ企業合併による組織再編

グループ6社の合併で誕生したスパイラル 新組織を1つにまとめる人事・広報の取り組みとは

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 ローコード開発プラットフォーム「SPIRAL」などを提供するスパイラル株式会社。同社は、多様な事業ドメインを有する6つのグループ企業が合併して、2023年6月に誕生した。企業風土の異なる6社の合併。1つになり同じ目標に向かって足並みをそろえていくため、どのような組織・制度の改変を行ってきたのだろうか。同社 上席執行役員 人事統括本部長 小西辰也氏と、広報室長 久保陽子氏に話を聞いた。

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業種業態の異なる6つのグループ会社が合併

——まずはスパイラル株式会社として合併された背景や、組織改変前に抱えていた課題について教えていただけますか。

小西辰也氏(以下、小西) まず2022年10月に、株式会社パイプドビッツの持株会社であったパイプドHD株式会社が上場廃止しました。その理由としては、当時のローコード市場の成長にともなって、本当はもっとポテンシャルがあるはずなのに、年間の成長率が約10%の成長率にとどまっていたからです。より意思決定を早くして、期待どおりの成長を遂げるには、上場を廃止してファンドに入ってもらい、組織全体を見直す必要があるだろうと判断しました。

久保陽子氏(以下、久保) 当時はコロナ禍で、ITニーズが高まっていたのも大きいですね。まずは上場を廃止して、グループ会社の中でシナジーの高いものを合併することで、営業や開発のリソースを共有しながら、成長スピードを加速させる狙いがありました[1]

[1]: 同社は2000年に創業し、2006年12月に株式会社パイプドビッツとして東証マザーズに上場。2014年5月に東証一部への指定替え、2015年9月にホールディングス体制へ移行した(パイプドHD株式会社を設立)。その後、MBOによる株式の非公開化を実施し、2022年10月末日をもって上場を廃止。2023年6月1日、総合的企業価値を高めるため、ローコード開発プラットフォームやITサービスなど、事業ドメインを共有する事業会社を統合し、サービスブランドを一層強化する目的で、パイプドHD株式会社、株式会社パイプドビッツ、株式会社フレンディット、株式会社美歴、株式会社VOTE FOR、株式会社アイラブを合併する組織再編を行い、社名を「スパイラル株式会社」に変更した。

小西 辰也氏

小西 辰也(こにし たつや)氏

スパイラル株式会社 上席執行役員 人事統括本部長

2005年株式会社パイプドビッツ入社。同社にて営業部門、プロダクトマーケティング部門、人材育成部門の責任者を経て2015年11月同社執行役員CKO、2020年5月取締役兼執行役員COOに就任。2023年6月よりスパイラル株式会社 上席執行役員に就任(現任)。

——合併前のグループ6社の経営は、それぞれ独立していたのでしょうか。

小西 そうですね。グループとしての方針はあったのですが、各社独立した企業として営んでいました。とはいえ、会社規模によっては、広報や法務などの管理機能をすべて自社で賄えないところもありましたので、そうしたところはパイプドHDが業務委託によって支援していました。

——なるほど。改めて合併前のグループ6社の事業内容をそれぞれ教えていただけますか。

久保 まず親会社としてパイプドHDがあり、5つの子会社の中で最も規模が大きかったのが、「SPIRAL」を提供するパイプドビッツです。そのほか、アパレル業界などにEC系のサービスを提供する株式会社フレンディット、美容サロン向けのヘアカルテアプリを提供する株式会社美歴、地方自治体向けにネット投票システムなどを提供する株式会社VOTE FOR、そして東京・下北沢の地域活性化に向けてWebサイトやアプリを提供したりイベント運営を行ったりしている株式会社アイラブがありました。

久保 陽子氏

久保 陽子(くぼ ようこ)氏

スパイラル株式会社 広報室長

2007年株式会社パイプドビッツ入社。同社にて新規・既存営業部門、顧客サポート部門を経て、2015年9月パイプドHD株式会社広報部部長に就任。2020年同社コーポレートコミュニケーション部配属、2023年6月よりスパイラル株式会社広報室長(現任)。

——事業内容だけでなく、BtoB、BtoC、BtoBtoCと、取引形態もバラバラだったんですね。合併後の組織体制は、どのようになっていますか。

小西 管理部門の他には、営業の部隊である営業統括本部、SPIRALを使ってアプリケーションを開発するクラウドSI統括本部、SPIRAL自体の開発を担うプラットフォーム統括本部、そして旧美歴の「美歴カンパニー」と旧アイラブの「まちおこしカンパニー」、旧VOTE FORと一部パイプドビッツの「公共DX事業部」の3つを束ねるEnabler統括本部があります。基本的には事業ごとのターゲットを切り口に、リソースを最適配分しながら効率的に事業を行うために、このような体制にしています。

——美歴とアイラブがカンパニーとして残っているのは、何か狙いがあるのですか。

小西 2000年に創業後、パイプドビッツから2015年にホールディングス体制になり、さらに分社化してグループ会社ができていった歴史があるので、今後また独立する可能性がある事業に関してはカンパニーとして残している、という経緯があります。

 一見、まったく異なる事業を複数営んでいるように見えるかもしれませんが、実は対象となるお客様が違うだけで、「データをお預かりする」という事業の根幹は共有しています。そのため、シナジーを最大化するためにベストな組織を模索しながら、時々で変えている状況です。

 もう1つ、カンパニーとして一定の独立性を持たせているのは、お客様の性質上、人事制度を共通化しにくいという理由もあります。たとえば美歴カンパニーは、美容室のお客様に合わせて勤務時間を変則的にするといった対応が必要となるため、独自の人事制度を設けています。

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この記事の著者

野本 纏花(ノモト マドカ)

フリーライター。IT系企業のマーケティング担当を経て2010年8月からMarkeZine(翔泳社)にてライター業を開始。2011年1月からWriting&Marketing Company 518Lab(コトバラボ)として独立。共著に『ひとつ上のFacebookマネジメント術~情報収集・人脈づくり・...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

北浦 汐見(キタウラ シオミ)

都内のスタジオに勤務後独立。ポートレート、取材、料理撮影等、都内を中心に活動中。

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市古 明典(HRzine編集長)(イチゴ アキノリ)

1972年愛知県生まれ。宝飾品会社の社員、辞書専門編集プロダクションの編集者を経て、2000年に株式会社翔泳社に入社。月刊DBマガジン(休刊)、IT系技術書・資格学習書の編集を担当後、2014年4月より開発者向けWebメディア「CodeZine」の編集に参加。その後、2017年7月にエンジニアの人事...

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