(※) ビーブレイクシステムズで実施した調査の結果
「令和の日報」はそもそも目的が違う
まずは、日報を取り入れる目的を正しく設定することがポイントです。
日報とは「日次報告」の略です。部下が上司に1日の業務報告を行い、部下の目標達成度合いや、仕事の進捗を確認し、評価や支援、あるいは叱咤激励を行うのが目的だったといえます。そのため、上司と部下の密室の中でやりとりが行われ、日報での報告内容やマネジメント方法も千差万別でした。
一方、「令和の日報」は2つのことを目的としています。一つは「PDCAを回して生産性を高める」こと。もう一つは「社内で情報共有する」ことです。
この目的を踏まえて日報運用を行った場合、どのような効果が得られるのでしょうか。それには大きく3つあります。
①社員が自律的に仕事を行うようになる
日報を毎日書くことで、上司が近くにいない状態でも、今日の目標、今日の結果、何がうまくいった要因なのか、改善する必要があるのかを考え、自分自身で結果の検証ができるようになります。
これにより、毎日PDCAを自分で回し、自律的に仕事を行うようになります。もちろん、日報運用直後、いきなりそれができるようになる社員は少ないかもしれません。しかし、毎日行うことでどんどん慣れていき、習慣化されていきます。毎日書く日報だからこそ、期待できる効果です。
②社員同士の自律的な協業が生まれやすくなる
そもそも、社員同士の協業が生まれにくい大きな要因として、お互いの仕事の内容や進捗状況が分からないという点が挙げられます。中には、「何をしているか分からない」「仕事がないのに忙しそうにしている」というマイナスの印象をお互いに抱いていることも少なくありません。日報により、日々の業務を社内で共有することで、今何をどれだけやっていて、何に困っていて、何がうまくいっているのかを社員同士が知ることができます。困っていることに対して自分が助けてあげることもできますし、逆に助けを求めることも簡単になります。
③社員の評価がしやすくなり組織の成長につながる
リモートワーク下では「成果主義に移行しないと評価ができない」という声をよく耳にします。ここでいっている成果主義とは多くの場合、「仕事の結果」のみを評価の対象として「成果を出すプロセス」は評価の対象にしない、ということを意味しています。
ところが、成果主義とは本来、業務遂行の過程と結果に基づき評価を行うものです。結果だけを評価する考え方は、普段あまり使われない言葉ですが「実績主義」がそれにあたります。
正しく成果主義で評価を行うのであれば、結果に加えて、何をどう行ったかという過程も評価しなければなりません。過程の評価では、結果を出すに至った方法や環境にとどまらず、倫理観や社会性も考慮します。その企業・組織の価値観に沿って努力したかどうかが問われるのです。
そもそも結果には、本人の管理可能な範囲を超えた要素(外部環境・内部環境を含め)が影響することも往々にしてあります。その点で、実績主義は納得性の高い評価基準とはいえないでしょう。
いずれにしても、メンバーをできる限り会社の理念に則った形で適正に評価するためには、評価の基本となる3つの評価軸である「実績」「能力」「態度(仕事にのぞむスタンス)」を見ることが大事です。では、リモートワーク下において、これらを評価するにはどうすればよいのでしょうか。
「能力」や「態度」の評価は、仕事の結果(実績)だけではできません。その結果が出るまでの「プロセス」を見る必要があります。オフィス勤務の場合には対面でそのプロセスを把握できますが、リモートワーク下ではそうはいきません。部下を正しく評価するためにはどうしたらいいのか。それを解決できるツールとして「日報」があります。1日の仕事の状況を日々書いてもらえば、プロセスを見ることができ、同時に評価をすることができます。
さらには、日報を上司以外のメンバーにもシェア(共有)をしておくと、上司以外の社員も仕事のプロセスを見ることができ、リモートワーク下においても360度評価が可能になります。