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特別寄稿 | 人材活用

織田信長に学ぶ、ジョブ型雇用の成功の条件

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 コロナショックで、多くの企業が大幅な事業見直しを余儀なくされています。そうした中で雇用についても、これまでのメンバーシップ型雇用を見直し、ジョブ型雇用を導入する動きも広まってきました。とはいえ、社内の制度が長期安定雇用を前提としていたり、従業員も就職=就社を前提として入社していたりする場合には、価値観の違いが表面化して、ジョブ型雇用のデメリットが表面化しかねません。本論では、戦国武将の事例をもとに、ジョブ型雇用の成功に必要な条件を考えてみたいと思います。

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戦国時代を勝ち抜くために

 戦国時代は、日本各地で生き残りをかけた厳しい戦いが繰り広げられていました。歴史に学ぶということは、先人たちの生きた知恵を現代に生かすことです。

 戦国時代を勝ち抜くために必要な要素は3つあると、私は考えます。

 まず、戦いに勝つために必要な「軍事力」。兵士の数と戦う能力の掛け算になります。プラスアルファで、士気があります。

 次に「経済力」。兵士や領民を養うために、税収を上げて豊かな国にする必要があります。戦国時代は、主に農業生産高と比例していました。

 そして「外交力」。周りの国から攻められないために、孤立しないことが大切です。多くの場合、官位などで権威付けしたり、婚姻政策などで同盟を結んだりしました。

 現代企業においては、大まかに軍事力=社員能力、経済力=財務指標(売上・利益)と置き換えて考えることができるでしょう。

 これら3要素を高めるために、戦国武将は創意工夫を凝らしていました。まさに経営戦略そのものです。そして、最も成果を上げたのが織田信長でした。では、信長のどういうところが特に優れていたのでしょうか。

織田信長に学ぶ戦略思考

 私は、織田信長の「戦略思考」が優れていたことが、彼を天下人に押し上げる根本の力だったと考えています。それは、武田信玄との対比で考えてみても明らかです。ましてや、他の戦国武将とは比較にもなりません。

 信長が掲げた旗印は「天下布武」。なんのために戦うのかが明確です。信玄の「風林火山」も有名ですが、あくまでも自国のことにとどまっています。

 そして、「楽市楽座」によって商業中心の税収を考えていました。信玄も含め、多くの戦国武将は農民を兵士として徴兵し、農民からの税収に依存していました。だから、農繁期には戦うことができず、兵士の補充も難しかったのです。信長の場合は、経済力に比例して税収が増える仕組みを作り、兵士は金で雇うようにしていたのです。

 さらに、領土を拡大するにあたっても、目的を明確にし、優先順位を付けて、着実に成果を上げていく方法をとっていました。信玄は勝てる可能性のあるところから取り組んでいきましたが、川中島で上杉謙信と長年敵対して引き分けるなど、無駄となる行動も多かったのです。

 つまり、信長は「What=何のために」という思考がきちんとできていたのです。戦国時代を勝ち抜くための3つの要素を考えることは、信玄をはじめ、どの武将も程度の差こそあれ行っていました。でも、目的を明確にして、戦略的に考えること、そして一貫性があること、着実に実行することの3つがそろっていたからこそ、信長は天下に近づくことができたのではないでしょうか。

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この記事の著者

高島 徹(タカシマ トオル)

株式会社決断力 代表取締役。1963年香川県生まれ。1986年松下電器産業(現パナソニック)入社。エアコン事業、半導体事業の経理責任者、本社部門を経験。松下幸之助の直轄部隊として、20代より経営者の決断をサポート。28年間で85個のプロジェクトで経営改善を現場で実践。2014年50歳で起業。株式会社...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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