Thinkingsは、採用担当者1094名に対して、コロナ禍を含む直近3年程度における採用活動の実態に関する調査を実施し、結果を「採用のホンネ」特設サイトに公開した。調査期間は2021年4月12日~4月15日。
デジタル環境の成熟、働き方改革、SDGsなどの社会変化に加え、2020年からのコロナウイルス流行により、各企業の経営環境はますます大きな変化を迫られると同時に、採用現場も変化が必要とされている。経営環境や働き方が見直されるなか、採用担当者1094名のうち490名が「求人媒体」「オンライン面接ツール」「適性検査・Web検査ツール」などの採用ツールを新たに導入したと回答した。
一方、採用強化・業務効率化を目的として、新たに採用ツールを導入した採用担当者の36.7%が、「とても忙しくなった」「すこし忙しくなった」と感じていることが分かった。採用した人材の質については67.5%が直近3年で「変わらない」「少し低下した」「大きく低下した」「わからない」と回答。また、コロナ禍で導入が加速したオンライン面接でも「本音や本質が見抜けなくなった」と苦戦する意見が半数以上(59.2%)を占めた。採用強化・業務効率化のために新たな採用ツールを導入したにもかかわらず、採用担当者は忙しくなり、採用人材の質が確実に向上した企業は限定的であることが分かった。
現状の採用活動について、全体の約半数(47.6%)の採用担当者が採用活動に「とても不安と感じる」「まあまあ不安と感じる」と回答。対面で感じ取れた応募者の所作や本音が、オンライン面接ではつかみにくくなり「対面と異なった対応テクニック」が必要など、コロナ禍を中心とした社会変化への対応に関する不安が目立った。また、自社に適した募集方法やツール選定などの採用手法や、応募者が本当に自社に合っているかといったマッチングへの不安を感じていることも明らかになった。
さらに、全体の6割(60.3%)もの採用担当者が現状の採用活動に「改善の余地がある」と回答。採用手法のナレッジ化を求める声が多く寄せられる一方で、改善したいが「何をしてよいかわからない」「思い浮かばない」という率直な意見も見られた。
自社の採用活動の成否を問う設問について、改善の余地があると感じない(=採用がうまくいっている)採用担当者と比較すると、採用活動に改善の余地があると感じる(=採用がうまくいっていない)採用担当者は、各項目の回答が軒並み低いポイントとなった。
特に「自社カルチャーにマッチした人材が採用できている」と回答した採用担当者は、両者で16.5%のも開きが見られた。また、「採用課題について社長・経営層と共有がしっかりできている」(14.7%差)「自社の求める人物像・人物要件をはっきりと定義できている」(14.4%差)「判断基準について採用担当者や面接官の間でズレを感じることはない」(13.8%差) 「求める人物像・人物要件に合わせて、最適な採用手法を実施できている」(11.9%差)「応募者一人ひとりとしっかりと向き合う採用活動が出来ていると感じる」(11.8%差) など、自社の採用活動がうまくいっていると感じている企業ほど、採用基準や採用手法の精度が高いことが分かった。そして「改善したくても改善できない」理由としては、大半が「時間やリソース不足」を挙げていた。
こうした結果を受けてThinkingsは、経営環境や働き方の変化、そしてコロナの影響によって、オンライン面接をはじめ、採用環境の変化に採用担当者が苦戦している実態が、今回の調査により浮き彫りになったと指摘。そのような状況の中でも、次に示す「採用の解像度」が高い企業こそ、自社の採用活動がうまくいっていると感じている傾向にあったとする。
- 経営層と密に連携しながら自社ならではの採用基準を明確化できているか
- それに合わせた自社に最適な採用手法をとれているか
- スキルや能力だけにとらわれずカルチャーマッチも踏まえて応募者一人ひとりと向き合えているか
そして、多忙化する中でも、限られた時間・リソースをいかに「採用の解像度」を上げる取り組みに費やせるかが、今後ますます問われるだろうと述べている。