応用情報技術者試験はどんな人が受験するのか?
情報処理技術者試験の試験区分は、平成29年度春期から次のようになります。
このサイトをご覧の方は、すでに下位資格の基本情報技術者試験に合格されている方も多いのではないかと思います。応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位資格として位置付けられます。さらに最上位資格は「高度試験」と呼ばれ、ジャンルごとに専門性を問われますが、応用情報技術者試験は硬度試験のジャンルをすべて横断していることから、汎用的な知識や技能を問われるということがわかります。
また、基本情報技術者試験応募者の平均年齢は26.1歳ですが、応用情報技術者試験は31.0歳(出典:平成28年度春期試験平均年齢(PDF))ということから、受験者の中心は、中堅のITエンジニアだと考えられるでしょう。なお、応用情報技術者試験は、経済産業省が定めた「ITSS(IT Skill Standard,ITスキル標準)」の1~7のレベルのうち、レベル3に位置付けられています。
応用情報技術者の役割と業務
試験要綱の「役割と業務」には、応用情報技術者試験の合格者(以下、応用情報技術者)が担うべき役割と業務について、次のように書かれています。
基本情報技術者試験の合格者(以下、基本情報技術者)が担うべき「役割と業務」と比べてみましょう。次表の中で、背景に色の付いている部分が、応用情報技術者と基本情報技術者の間で役割と業務が異なるところです。
応用情報技術者の役割と業務 |
基本戦略立案又はITソリューション・製品・サービスを実現する業務に従事し、独力で次のいずれかの役割を果たす。
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基本情報技術者の役割と業務 |
基本戦略立案又はITソリューション・製品・サービスを実現する業務に従事し、上位者の指導の下に、次のいずれかの役割を果たす。
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なかなか微妙な言い回しですね。 しかし、ポイントはやはり「独力で」、になるのではないでしょうか。上位者から指導を受けるのではなく、自らが主体的に戦略を立案したりシステムを構築したりできる、つまりはグループの中心にいることがイメージされます。
ただし、基本情報技術者試験の合格が前提条件にはなっていません。また、試験内容の詳細は後述しますが、必ずしもソフトウェアの開発技術者を対象とした試験でもありません。改訂が重ねられた結果、現在はストラテジ系とマネジメント系分野が試験範囲として大幅に追加されています。IT技術に関する知識と理解を要求されていることは間違いありませんが、総務や人事といった管理畑における経験の深い方や、最近はプログラミングから遠ざかっている管理職の方も合格できる内容になっているのが特徴です。
応用情報技術者試験に合格すると
国からのお墨付きが得られる
応用情報技術者の対象者像は「高度IT人材となるために必要な応用的知識・技能をもち、高度IT人材としての方向性を確立した者」とされています。高度IT人材である、とまではいっていませんが、そうなるために必要な知識や技能を有していることを国が認めてくれているといっていいでしょう。
職場での評価が上がる
IT系企業では、この資格取得により一時金や資格手当が支払われることも多いです。筆者の感覚的なものですが、基本情報は取得して当然、でも応用情報は取得したら評価が上がるという企業が多いように感じます。
就職活動に有利
同じくIT系企業では、内定時から情報処理試験対策を行っている企業が少なくありません。試験が4月に実施されることから、入社するやいなや、対策講座が実施されることもあります。でもその時点ですでに取得済だったら、入社時点で差をつけることができます。当然のことながら、合格者は就職活動でも有利にはたらくでしょう。
高度試験の午前Ⅰ試験が2年間免除される
さらに上位の試験を目指すことになった場合、合格した年度を含む2年以内に高度情報技術者試験で共通して実施される午前Ⅰ試験は申請により免除されます。ほかにも、中小企業診断士・弁理士の科目免除が受けられる制度があります。