事業の“成長”を求め設計された「期待役割グレード制度」
――ベーシックの人事評価制度が特徴的だといわれる理由に、「期待役割グレード制度」の存在があると思います。制度のコンセプトや概要を教えていただけますか。
角田剛史氏(以下、角田):従業員一人ひとりが挑戦できる機会を作るほか、会社のミッションに基づいた、適切な評価の仕組みをつくるための軸として導入したのが、期待役割グレード制度です。

ベーシックでは、経営層から社内に向けて「卓越した人材になれ」というメッセージを、度々発信してきました。卓越した人材になるには大きな成長を経る必要があるわけですが、ただ従業員に成長を求めるのではなく、会社が成長できる環境を整備しなければならないという考えの下、本制度を設計しました。
旧来より日本で主流となっている「職能型」ではなく、「職責型」の制度である点が本制度のポイントだと考えています。「すでにこういう能力が備わっているから」という過去に基づいた評価よりも、「今後、さらに上の役割を担ってもらうためには……」という将来への期待をかけた評価を行っているのです。ですから、現状では期待に能力が追いついていないけれど、事業成長のためにはいずれそこに到達してほしいという場合には、あえて一段上の役割を与えることもあります。

株式会社ベーシック 執行役員 CAO コーポレート本部長
――なぜ、このような“未来志向”の評価制度を採用したのでしょうか。
角田:もともと、ベーシックは2004年の創業以降、長年比較メディア事業を主力としてきました。しかし、2012年にWebマーケティング領域のSaaS事業へ参入してからは、これまでの既存事業と、これから急成長させていく新事業が並走している業態となったのです。その後、SaaS事業が成長すればするほど、比較メディア事業が中心の時代に導入した従来の人事制度が、SaaS事業には適していないことが分かってきました。
新事業を急成長させていくためには、何よりもスピード感が大切です。それに、ソフトウェアのビジネス自体が、かなり急速に変化していく世界ですからね。そしてスピード感を高めるためには、従業員の積極的な挑戦と自律的な行動が欠かせません。そんなとき、社内の人事評価制度が旧来の職能型のままではどうなるでしょうか。年功序列で、成果や行動が評価や給与に反映されないようでは、若手の向上心が育たない上、その先にある事業の成長も見込めないでしょう。そこで、事業のスピード感に合わせ、2歩先、3歩先の期待を反映させた評価制度を新たに設計することにしたのです。