レバテックは、ユーザー企業でDXを担当している人材(以下、DX人材)を対象に、転職理由と社員エンゲージメントに関する調査を実施した。
- 調査対象 :ユーザー企業(設立年数が1990年以前、かつ業種が情報通信業以外)で働いているDX人材(ITエンジニア、データサイエンティスト、Webデザイナー、UI・UXデザイナー、プロダクトマネージャー)
- 調査会社 :楽天インサイト株式会社
- 集計期間 :2022年1月
- 調査方法 :Webアンケート調査
- 有効回答数:200名
以下は同調査結果の抜粋。全体は同社のWebサイトで確認できる。
1. ユーザー企業におけるDX人材比率は1割以下
ITエンジニア、データサイエンティスト、Webデザイナー、UI・UXデザイナー、プロダクトマネージャーなど、DX人材がユーザー企業の従業員数全体に占める割合を見ると、「1割以下」と回答した企業が約半数となった。日本ではベンダー企業と比較してユーザー企業でDX人材を確保できていない問題が大きく、DX人材を確保するため中途・新卒採用や社内人材の育成・異動が対策として実施されている。
2. DX人材がユーザー企業に転職する理由で最も多いものは「事業内容への興味」
ユーザー企業で働くDX人材のうち、転職経験があるのは67%、転職経験がなく現在働いている企業が初めての職場である人は33%だった。ユーザー企業はDX人材の不足を補うべく、積極的に中途採用を行っていることが分かる。
また、DX人材がユーザー企業に転職した理由で最も多いのは「事業内容への興味(21.5%)」となった。Webサービス企業で働くようなIT人材が重視する、「最新の技術・スキルを習得できる」や「業務の裁量が大きい」を理由に転職した人は比較的少なく、1割以下だった。
3. DX人材のエンゲージメント低下リスクは、待遇と社内の風通しにあり
自身が現在働いているユーザー企業で働くことを、友人や知人に薦めたいかについて、「非常に薦めたいと思う」「薦めたいと思う」と回答した人は56%、「薦めたいと思わない」「全く薦めたいと思わない」と回答した人は44%となった。
現在の職場を薦めたいDX人材が感じるやりがいTOP3は、「働く環境が良い(リモート可、オフィスの環境が良いなど)」「福利厚生などの待遇面が良い」「働き方に柔軟性がある」「業務の裁量が大きい」という結果になった。ユーザー企業への転職理由として1位だった「事業内容への興味」は、やりがいとしては中位に位置しTOP3からは外れている。新型コロナウイルスの感染状況がいつ落ち着くか、見通しが立たないいま、ユーザー企業で働くDX人材のエンゲージメントにリモート可の条件は良い影響を与えると考えられる。
一方、現在の職場を薦めないDX人材が不満に感じる点TOP3は、「年収が低い」「社内の風通しが悪い」「福利厚生などの待遇面が悪い」となりました。職場へのエンゲージメントが低下する要素の一つとして、年収や福利厚生などの待遇があることが分かる。ユーザー企業への転職理由で1位だった「事業内容への興味」は、転職する前から感じ取れるものであるのに対し、転職時に実態が分かりづらい「社内の風通し」の悪さはエンゲージメント低下の一因になり得るといえる。
【関連記事】
・回答した大企業の約半数は「DX人材の確保が不十分」─シェアエックス
・大企業人材の44%がDX業務にネガティブ・無関心、DX人材育成の壁は仕事の「境界線の維持」―IGS
・DX推進に関する調査レポート DX人材の社内育成に課題、外部人材を活用する企業は6割強―パーソルHD