山根 知樹(やまね ともき)氏
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 第二公共事業本部 ヘルスケア事業部 第三統括部 健康ソリューション担当 部長
東京工業大学修士卒業後、2000年株式会社NTTデータに入社。複数の大規模システム更改プロジェクトでプロジェクトマネージャーとして従事。2019年より現職、Health Data Bankの営業・開発・運用全般を所掌し、NTTグループのヘルスケア事業拡大に取り組む。
畠山 正克(はたけやま まさかつ)氏
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 第二公共事業本部 ヘルスケア事業部 第三統括部 健康ソリューション担当 テクニカルグレード
2008年に株式会社NTTデータに入社。Health Data Bankの商品企画を担当し、このほか個人向け健康サービスやヘルスケアポイントのプロジェクトに参画。現在は、AIによるデジタル化の検討など、健康管理システムの新たな価値創出に取り組む。
コロナ禍でより難しくなったメンタルヘルスケアを支援するために
近年、注目が高まる健康経営。超高齢社会となっている日本において、健康への投資を促進し、就労世代の活力向上や健康寿命の延伸が喫緊の課題となっている。その一方、コロナ禍をきっかけに在宅勤務やテレワークが広まり、従業員の健康状態を把握するのが以前にも増して困難となっている現状がある。
2020年6月に行われた「第2回新型コロナウイルスによる健康経営の影響に関するアンケート」(株式会社ニューロスペース、株式会社バックテック、株式会社asken調べ)によると、従業員の健康について認識している課題として、80%の企業が「メンタルヘルス」を挙げたという。
「Health Data Bank」は、人事担当者や産業医、保健師が産業保健活動に用いる業務システムとして、健診結果や面談記録の保管や、労働基準監督署へ提出するレポート作成などに活用されてきた。Health Data Bankは、これまでに2000の健診機関とのデータ形式調整実績があり、健診機関から直接データを受け取って格納できるため、面倒なデータの受領や登録、変換の作業が不要となる。こうして生まれた時間を、従業員のメンタルヘルスケアにあてることができるのだ。
それだけではない。WHO(世界保健機関)などで提唱されている“サイコロジカル・ファーストエイド理論”では、「見る」「聞く」「つなぐ」の3要素が人々の心理的な保護を促進し、援助のためのコミュニケーションを促すとされている。リアルで毎日顔を合わせていた頃であれば、部下の顔色を見たり、世間話に耳を傾けたり、困っていたら手を差し伸べたりすることができていた。しかし、それらが難しくなった今、デジタルで補完する仕組みが不可欠だ。
Health Data Bankでは、スマホカメラを活用したソリューションにより「見る」を補完できる。また、定期的な意識調査によってストレス状態を確認する「パルスサーベイ」をオプションで付けることで、「聞く」も補完できる。さらに、年に一度の健診やストレスチェックの結果だけでなく、こうした日々の変化を把握することでコミュニケーションのきっかけが生まれ、「つなぐ」を補完することも可能だ。
このパルスサーベイは、コロナ禍でリモートワークが始まるのをきっかけに、「従業員の状況を遠隔で管理できる仕組みがほしい」というNTTグループ内からの要請によって追加された機能だという。
「まずはNTTグループの従業員20万人に対して一斉導入したところ、非常に好評を受けた。もともとリモートワークによるコミュニケーション不足を補うのが目的だったが、意外にも『実際に使ってみると、リアルで顔を合わせていたときよりも、部下の状況がよく分かるようになった』という声をよく耳にしている。現在は、外部のお客様にも提案・販売をしており、ご利用いただいているところである」(山根氏)