会社だけでなく個人のための生涯健康管理システムへ
そんなHealth Data Bankは、これまで「企業の健康経営を支援するシステム」として進化を遂げてきた。しかし、今後はそれだけではなく、人生100年時代に向けて、「個人の長期にわたる健康管理を支援するシステム」への進化を目指しているという。
具体的には、次図のように、ヘルスケアデータの「収集・蓄積」「分析」「分析結果の提供」をHealth Data Bankが担い、入口であるデータの測定や出口であるデータ活用はパートナー企業と連携を図ることで、エコシステムを築いていく。
パートナー企業との連携によるデータ活用の例をいくつか挙げていこう。
まずはNTTドコモの「dヘルスケア for Biz」だ。これは個人向けの「dヘルスケア」アプリの機能に加え、法人向けに健診結果に基づくAI健診やからだ改善ミッションを配信することで、従業員一人ひとりの健康状態に合わせた動機付けや行動変容をサポートするものである。2022年4月1日からは、dヘルスケアアプリからHealth Data Bankにログインして、自身のヘルスケアデータを閲覧できるようにもなる。
同じくNTTドコモの「リボーンマジック」は、時間栄養学に基づき、一人ひとりの生活リズムに合ったカスタムメイドのメニューを提案することで、生活リズムの改善や、コンディションの向上を図るもの。スマホやPCを使って、ゲーム感覚で楽しみながら継続できるよう設計されている新しいeラーニングサービスだ。
他には、リンクアンドコミュニケーションが提供する健康アドバイスアプリ「カロママプラス」とも連携が実現しており、従業員が毎日の食事・運動・睡眠などのライフログを記録すると、AIによるアドバイスがリアルタイムで提供されるようになっている。
また、「マイナポータル」に登録された健診データをHealth Data Bankに取り込む機能も、近日中にリリース予定だという。
こうしてHealth Data Bankが個人向けサービスを提供するパートナー企業の拡充に注力するようになった背景には、サービスを開始した当初から謳ってきた“生涯”健康管理システムとして、「たとえ企業を退職しても、生涯を通じて人々の健康管理を支援したい」という想いがあったのが一つ。そしてもう一つには、健康管理業務に携わる顧客の中に、「限られたリソースで従業員全員の健康管理をしていくには、個々人が健康意識を高めてもらう支援策が必要だ」というニーズがあったからだ。
「年に1度の健診前後だけは健康に対する意識が高まるが、それ以外の時期はすっかり頭から抜けてしまっている人も多いのではないか。せっかく毎年蓄積されている健診データを、個人がより活用しやすくなるよう、これからの人生100年時代に向けて、よりいっそう、個人の健康管理に寄り添っていきたい」(山根氏)
なお、NTTグループでは、⼀⼈ひとりに最適化されたメディカル・ヘルスケアサービスを、いつでもどこでも享受できる世界を目指し、「Remote World For Healthcare」というブランドを展開している。本稿で紹介した「Health Data Bank」の活用のように、ICTを活用し、健康経営に向けたヘルスケアの実現につながる様々なソリューションを展開しており、詳しくは下記のリンクから確認いただきたい。
Remote World For Healthcareのサイトへ