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タレントアクイジション入門 | 第2回

採用難打破にこそタレントアクイジション メリット・注意点と最先端事例

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 労働人口の減少や第4次産業革命により、優秀な人材の獲得競争がますます激化しています。そのような中、アメリカでは「タレントアクイジション」(人材獲得)という概念がトレンドになっています。本連載の第1回では、タレントアクイジションの定義やリクルーティング(採用)との違いについてお話ししました。今回は、人的資本経営の時代に求められるタレントアクイジションのメリットと注意点、および最先端事例を紹介します。

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タレントアクイジションのメリットとは

 「タレントアクイジション」とは、様々な手段・手法を用いて、中長期的に転職潜在層から優秀な人材を獲得することです。タレントアクイジションを推進するメリットをもう少し掘り下げてみましょう。

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 タレントアクイジションを推進するということは、足元の欠員募集を埋めるだけではなく、中長期で経営戦略と連動した採用活動を行っているということです。すなわち、人材を「資本」として捉える人的資本経営を推進していることに他なりません。人的資本経営として事業成長に必要なタレント人材を確保することは、中長期的な企業価値向上につながります。

 また、タレントアクイジションを推進すると、転職顕在層からは採用できないような優秀な人材を獲得できます。これまでどおり、人材紹介や求人広告などの転職市場で採用する方法だと、結局条件面での比較になってしまいます。優秀な人材であれば10社以上から内定も出るので、その中で自社を選ぶ理由を作ることが難しいでしょう。タレントアクイジションでは、採用ブランディング、リファラル採用、タレントプール採用などで転職潜在層へアプローチをするため、そもそも他社とバッティングせずに口説くことができます。

タレントアクイジションの注意点

 タレントアクイジションには上記のようなメリットがありますが、実際に推進することは容易ではありません。パーソル総合研究所の調査によると、「人事戦略が経営戦略に紐づいていない」と回答する会社が3割を超えています。この現状の中、経営戦略に紐づいた人材ポートフォリオや必要になるジョブの定義、そして採用戦略のディスカッションを進めなければなりません。それには、これまでの人事の仕事に加えて、より専門的なノウハウや工数が必要になるでしょう。

[画像クリックで拡大表示]

 さらに、人材を獲得する上で気をつけるべきことは「企業文化とのマッチング」です。そもそも、人的資本経営には段階論があります。1段階目は、自社の事業を成長させるために必要な役割やジョブを定義して、そのポジションに最適な採用戦略を中長期で実行していく“適所適材”のジョブ型採用。「人的資本経営」が求める経営戦略と連動した人事戦略の構築には、ジョブ型人事制度との親和性が高いといわれており、大企業も徐々にこのモデルにシフトしています。さらにその上の段階では、優秀な人材を採用して、その人材をもとに戦略を練って適するジョブを作る“適材適所”の形です。これが究極の人的資本経営だと思います。

 例えば、長年変革できていないEC企業は、かなり優秀なAIエンジニアが入社することで、ECのデータを活かした新たなビジネスを始められるかもしれません。事業に必要なジョブから採用する発想ではなく、「こんな人が入ったら、こういう新たな事業ができるのではないか」という考え方です。

 しかし、ここで気をつけるべきことが前述した「企業文化とのマッチング」です。もし文化に適合していない人材だった場合は、優秀な人材に合わせて事業を作ったとしてもうまく進まない可能性があり、さらには既存事業へ悪影響が出るかもしれません。つまり、人材を「資本」として捉え、優秀な人材に合わせてポジションを作るときには、文化とのマッチングをいっそうしっかりと見極めていく必要があります。

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この記事の著者

鈴木 貴史(スズキ タカフミ)

株式会社TalentX(旧・株式会社MyRefer) 代表取締役社長 CEO。2012年、新卒にてインテリジェンス(現パーソルキャリア)に入社。IT領域の中途採用支援に従事した後、1億円の社内資金調達の元、リファラル採用の概念を日本に提唱しMyReferを創業。最年少にてコーポレートベンチャーを立ち上げ、転職サイトや人材紹介に変わる新たなHRTechサービス『MyRefer』をリリース。2018年、更なる事業拡大を目指しMBOを...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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