moovyは、「人事担当者の採用前後のギャップに関する調査」を実施し、その結果を発表した。
調査の概要は以下のとおり。
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2022年8月1日
- 有効回答数:コロナ前後に対面とオンライン両方での採用を担当している人事担当者111名
調査の結果については、同社は以下のように述べている。
6割以上の人事担当者は、「合否見極め」と「入社動機付け」の観点において、候補者との面接は対面が好ましいと回答
「Q1.採用における『合否見極め』と『入社動機付け』の観点において、候補者との面接は対面とオンラインのどちらが好ましいと思いますか。」(n=111)と質問したところ、合否見極めについては82%の人事担当者が「対面」が好ましいと回答した。また、入社動機付けについては66.6%の人事担当者が「対面」が好ましいと回答し、「合否見極め」の方がやや高い結果となった。
合否見極めを行う上で、対面での選考が好ましい理由、「非言語的情報がよりわかりやすいから」が80.0%で最多
Q1で「合否見極め」にて「対面」「どちらかといえば対面」の面接が好ましいと回答した人に、「Q2.合否見極めを行う上で、対面での選考が好ましいと思う理由を教えてください。(複数回答)」(n=90)と質問したところ、「非言語的情報(態度・表情・服装など)がよりわかりやすいから」が80.0%という結果になった。合否見極めの場面では、言語的情報だけではなく、非言語的情報も合否を判定するための重要要素と考えている人事が多いことがうかがえる。
入社の動機付けを行う上で、対面での選考が好ましい理由、「候補者が思う懸念や不安を把握できるから」が75.7%で最多
Q1で「入社動機付け」にて「対面」「どちらかといえば対面」の面接が好ましいと回答した人に、「Q3.自社への入社動機付けを行う上で、対面での選考が好ましいと思う理由を教えてください。(複数回答)」(n=74)と質問したところ、「候補者が思う懸念や不安を把握できるから」が75.7%、「対面での会話の方が魅力がより伝えやすいから」が73.0%となった。候補者から対面で情報を受け取り、その情報に応じてその場で柔軟に対応することがより入社動機付けにつながると考えている人事が多いということが分かる。
合否見極めを行う上で、オンラインでの選考が好ましい理由、「候補者が緊張せず落ち着いて会話ができ、フラットな状態の判断ができるから」が85.0%で最多
Q1で「合否見極め」にて「オンライン」「どちらかといえばオンライン」の面接が好ましいと回答した人に、「Q4.合否見極めを行う上で、オンラインでの選考が好ましいと思う理由を教えてください。(複数回答)」(n=20)と質問したところ、「候補者が緊張せず落ち着いて会話ができ、フラットな状態の判断ができるから」が85.0%と最も多い回答となった。対面での選考を望む人事が非言語的情報も含め判断するという意向とは反対に、むしろバイアスがかからない情報のみで判断をするという人事もいることが分かる。
入社の動機付けを行う上で、オンラインでの選考が好ましい理由、「採用したい候補者に、多くの社員と面談設定が可能だから」が79.4%で最多
Q1で「自社への入社動機付け」にて「オンライン」「どちらかといえばオンライン」の面接が好ましいと回答した人に、「Q5.自社への入社動機付けを行う上で、オンラインでの選考が好ましいと思う理由を教えてください。(複数回答)」(n=34)と質問したところ、「採用したい候補者に、多くの社員と面談設定が可能だから」が79.4%となり、社員面談のスケジュール設定のしやすさ、というオンライン選考ならではの利便性が好まれていることが分かった。入社動機付けにおいては、社員と会う回数が多い方が志望度が上がる傾向にあり、オンライン選考との相性の良さが見受けられる。
人事の約9割が、オンライン選考は対面より「合否の見極めが難しい」と回答
「Q6.オンラインでの選考は、対面での選考と比較すると「合否の見極めが難しい」と思いますか。」(n=111)と質問したところ、「非常にそう思う」が32.4%、「ややそう思う」が59.5%となり、合計すると91.9%となった。対面での選考が好ましいと思う人事が多いという背景として、見極め難易度の高さを感じている人事が多いようだ。
当落線上の評価となった場合、約6割が「なんとなく合格にする」
Q6で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した人に、「Q7.当落線上の評価(合否に迷う)となった場合、行動として多い傾向にある選択肢を教えてください。」(n=102)と質問したところ、「なんとなく合格にすることが多い」が61.8%、「なんとなく不合格にすることが多い」が24.5%となった。合否に迷った場合には合格にする割合が高く、オンライン選考では、合否判断に関する情報が不十分であっても、限られた中でポテンシャルや意欲を評価する傾向があるのかもしれない。
人事担当者の91.2%が、オンライン選考において当落線上の評価になった際、自信を持った判断ができないと思った経験あり
Q6で「非常にそう思う」「ややそう思う」と回答した人に、「Q8.当落線上の評価となった場合、自信を持った判断ができないと思った経験はありますか。」(n=102)と質問したところ、「5回以上ある」が50.0%を占めた。多くの人事担当者が、自信を持った判断ができないと感じていることが分かる。
自信を持った判断ができない理由、8割以上が「候補者の本音を感じづらいから」
Q8で「1回以上ある」と回答した人に、「Q9.自信を持った判断ができないと思った理由を教えてください。(複数回答)」(n=93)と質問したところ、「候補者の本音を感じづらいから」が82.8%で最多となった。オンライン選考において、採用候補者の合否を見極められない要因として、候補者の本音を引き出すことが難しいと考えていることが分かる。
人事担当者の78.4%が「オンライン選考のほうが入社後ミスマッチが多い」と実感
「Q10.オンラインでの選考と対面での選考と比較した場合、入社後ミスマッチ(能力や人柄が選考時とギャップを感じる事例)だったと感じることが多いものを教えてください。」(n=111)と質問したところ、「オンライン選考のほうが入社後ミスマッチが多い」が78.4%となった。オンライン選考における合否判断の難しさが、入社後のミスマッチにつながっているのかもしれない。
採用候補者の自社への理解度が最も高い採用経路は「直接応募・問い合わせ」
「Q11.採用経路別での応募者の自社への理解度を教えてください。」と質問したところ、最も理解度の高い採用経路は「直接応募・問い合わせ」であり、次点で「採用サイト・採用特設ページ」となった。求職者が主体的に応募する経路の理解度が高いことが分かる。
最も人材が活躍している採用経路も同様に、「直接応募・問い合わせ」
「Q12.採用経路別での応募者の入社後の活躍度合を教えてください。」と質問したところ、最も活躍がある経路は、最も理解度の高い経路と同様の「直接応募・問い合わせ」だった。理解度の高い人材を効率的に採用することが自社の利益につながることが分かる。
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