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いまさら聞けないHRDXの新常識 | #4

DXを成功に導く人材確保戦略~実際に活躍できるスキル・場・制度を提供する

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 多くの企業がDXを推進するデジタル人材の確保に向かっている。しかし、その人材にどのようなスキルを持ってもらい、何を実現してほしいのか、具体的に定められているだろうか。ここがあいまいな状態で採用したり育成したりしても、事業に何の成果ももたらさない。配置や評価を正しくできず、離職にもつながってしまう。今回はこの問題を考えたい。

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今回の要旨

 デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)を成功に導く人材確保戦略策定にあたり、まずはDXを通じて成し遂げたいことを自社の経営ビジョンや戦略上で明確に定義することが重要である。その上で、定義したDX戦略を実現する、具体的な技術的要素を明らかにした人材要件と現有人材が具備するケイパビリティとの乖離(かいり)を埋める確保戦略の策定が成功の鍵となる。加えて、デジタル人材の確保だけでなく、その定着に向けたDX戦略の採用ブランディングへの落とし込みと、配置、報酬、評価といった人材にとって魅力的なマネジメント基盤の整備が求められる。

「DXを通じて成し遂げたいこと」を明文化するところから始めよ

 2022年6月「DX銘柄2022[1]」の選出企業が発表された。これは経済産業省が東京証券取引所と共同で、東証上場企業約3700社(当時)に対して行った「DX調査」への回答企業約400社から審査・選出された“デジタル技術を前提として、ビジネスモデルなどを抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていくDXに取り組む企業”33社を指すが、特筆すべきはその数の少なさである。上場企業約3700社中の33社ということで、その数は1%に満たないのである。当然、厳正なる審査を通過する必要のある「狭き門」という側面もあるが、あまりにも少ないといわざるを得ない。

 また、経済産業省は、改正した情報処理促進法の下、経営者に求められる、企業価値向上に向けて実践すべき事柄を取りまとめた「デジタルガバナンス・コード」の策定と合わせ、DXに向けた戦略や推進体制などの整備状況を確認し、準備が整っている事業者を「DX認定事業者」として認定する、DX認定制度[2]も導入。2022年9月現在、認定されている事業者数は484社となっている。認定事業者には非上場事業者も含まれているため、正しい比較にはならないが、先の東証上場の約3700社を母数にとっても、その数は13%弱となっている。わが国の全事業者を母数に取れば、その数はいうまでもなくさらに少なくなる。

 DX認定が全てではないし、認定されずともDXに取り組む企業は数多く存在するであろう。だが、ここで伝えたいことは、そうしたいわゆるDX戦略の策定と開示を行っていると評価される企業はまだまだ少ないというのが実態ということである。こうした実態からも分かる通り、DX実現を求める昨今の潮流の割には、DXを通じて具体的に達成したい経営ビジョン、戦略を持っている企業は多くない。DXを通じて成し遂げたいことが明確でないとすれば、人材確保の方向性(取るべき手段、タイムラインなど)を定めることすらできない。こうしたDX戦略の不在がもたらす「人材確保戦略」の問題点を実際の事例を基に見ていきたい。

[1]: 経済産業省「『DX銘柄2022』選出企業レポートPDF

[2]: DX認定には「デジタルガバナンス・コード」に規定される項目に応じた要件・基準をクリアすることが必要だが、その中で企業は「ビジネスとITシステムを一体的に捉え、デジタル技術による社会及び競争環境の変化が自社にもたらす影響(リスク・機会)を踏まえた、経営ビジョンの策定及び経営ビジョンの実現に向けたビジネスモデルの設計を行い、価値創造のストーリーとしてステークホルダーに示していくべき」とされる。また、経営ビジョンを実現させるデジタル技術を組み込んだ戦略を策定し、それを踏まえた組織・制度の設計、具体的なデジタル技術、情報システムの活用と戦略の達成度を測る指標の定義までを求めている。

「DXを成功に導く人材」とは誰か、DX人材の要件定義が第一歩

 DX戦略が明確であるということは、経営ビジョンを実現させるための事業戦略に具体的なデジタル技術、活用する情報システムやそれを扱う組織や人材が明らかになっていることである[3]。すなわち、DX戦略を実現する「DXを成功に導く人材」に求める人材要件がはっきりしている状態とほぼ同義であるといえる。

 DXで既存業務の効率化を目指しているのであれば、業務効率化に資する現行システム改修やRPAをはじめとしたケイパビリティが必要となるし、消費者の潜在ニーズから攻めるべき事業セグメントを選定したいのであれば、ビッグデータ分析や機械学習、データアナリティクスのケイパビリティが求められる、といった具合に、DXを通じて実現したいビジネスゴールが具体的であればあるほど、それを推し進める人材に求めるケイパビリティやスキルも、より具体的なものとなる。

[3]: 先のDX認定制度では、Webサイトなどの公表媒体をもって「企業がデジタルによって自らのビジネスを変革する 準備ができている状態(DX-Ready)」であることが確認できることを条件としており、「経営者が、デジタル技術を用いたデータ活用によって自社をどのように変革させるか、を明確にし(1)、実現に向けた戦略をつくる(2)とともに、企業全体として、必要となる組織や人材を明らかにした上で(2.1)、ITシステムの整備に向けた方策を示し(2.2)、さらには戦略推進状況を管理する(3、4)準備ができている状態」が求められる。※()内の数字は「デジタルガバナンス・コード」の項番

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この記事の著者

笛木 亮(フエキ リョウ)

EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社 ピープル・アドバイザリー・サービス シニアマネージャー外資系ラグジュアリーブランド、総合コンサルティングファームを経て現職。人材育成体系構築支援、タレントマネジメント戦略策定支援、人事システム導入支援などに従事。小売業界における営業・店舗開発(既存...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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