CLIモードの移行
Cisco機器にコンソール接続してターミナルソフトウェアを起動すると、最初に次のような表示になります。
Router con0 is now available Press RETURN to get started.
[Enter]キーを押すとログインでき、最初はユーザEXECモードです。ユーザEXECモードでは、コマンドを待ち受けるプロンプトで「>
」が表示されます。
Router>
ユーザEXECモードから特権EXECモードに移行するにはenable
と入力します[7][8]。
Router>enable Router#
プロンプトで「#
」が表示され、特権EXECモードであることを意味しています。
特権EXECモードからグローバルコンフィグレーションモードへ移行するには、configure terminal
と入力します。
Router#configure terminal Enter configuration commands, one per line. End with CNTL/Z. Router(config)#
プロンプトの表示が(config)#
となり、グローバルコンフィグレーションモードに移行したことが分かります。また、「1行ずつ設定コマンドを入力する」というメッセージが表示されます。
グローバルコンフィグレーションモードからインタフェースコンフィグレーションモードに移行するには、interface <interface-name>
と入力します。例えば、FastEthernet0/0というインタフェースのインタフェースコンフィグレーションモードに移行する場合は、次のように入力します。
Router(config)#interface FastEthernet0/0 Router(config-if)#
プロンプトが(config-if)#
に変わり、インタフェースコンフィグレーションモードに移行したことが分かります。
また、グローバルコンフィグレーションモードからルーティングプロトコルコンフィグレーションモードへ移行するには、router <routing-protocol>
と入力します。例えば、RIPのルーティングプロトコルコンフィグレーションモードへ移行する場合、次のようになります。
Router(config)#router rip Router(config-router)#
(config-router)#
というプロンプトでルーティングプロトコルコンフィグレーションモードに移行していることが分かります。なお、ルーティングプロトコルによっては、router <routing-protocol>
の後ろに追加のパラメータが必要です。
インタフェースコンフィグレーションモードやルーティングプロトコルコンフィグレーションモードからexit
と入力すると、グローバルコンフィグレーションモードに戻ります。また、end
と入力すると、特権EXECモードまで戻ります。
Router(config)#interface FastEthernet0/0 Router(config-if)#exit Router(config)#
Router(config)#router rip Router(config-router)#exit Router(config)#
次図は、CLIモードの移行についてまとめたものです。
CLIモードについて試験で直接問われることはありませんが、Cisco機器を扱う上での基本です。それぞれのCLIモードの意味と移行をしっかりと把握しておいてください。
なお、コンフィグレーションモードの移行は、いったんグローバルコンフィグレーションモードに戻る必要はありません。例えば、次のようにインタフェースコンフィグレーションモードから直接ルーティングプロトコルコンフィグレーションモードに移行することもできます。
R1(config)#interface FastEthernet0/0 R1(config-if)#router rip R1(config-router)#
注
[5]: EXECモードの権限は、ユーザEXECモードと特権EXECモード以外にもカスタマイズできます。0~15の権限レベルがあり、ユーザEXECモードは権限レベル0で特権EXECモードは権限レベル15です。追加の設定で、1~14の範囲の権限レベルごとに実行できるEXECコマンドを細かく制御できます。
[6]: 先頭にdo
を付けることによって、コンフィグレーションモードでもから確認コマンドを実行することができます。
[7]: ルーティングプロトコルに関する設定コマンドは、ルーティングプロトコルコンフィグレーションモードだけでなく、インタフェースコンフィグレーションモードで実行することもあります。
[8]: デフォルトでは、enable
と入力するとすぐに特権EXECモードに移行しますが、セキュリティ上は望ましくありません。通常は、特権EXECモードに移行する際には認証するように設定します。
[9]: 特権EXECモードからユーザEXECモードに戻るにはdisable
と入力します。
[10]: ただし、(config-if)#
というプロンプトだけでは、どのインタフェースのインタフェースコンフィグレーションモードにいるかは分かりません。