ProFutureの研究機関であるHR総研は、「社内コミュニケーション」に関する調査を行った。
調査の概要は次のとおり。
- アンケート名称:【HR総研】「社内コミュニケーション」に関するアンケート
- 調査期間:2023年1月16日~23日
- 調査方法:Webアンケート
- 調査対象:企業の人事責任者・担当者
- 有効回答:282件
調査の結果とそこから見える実情について、HR総研は以下のように伝えている。
社内コミュニケーションの状況は改善傾向
自社における社内コミュニケーションの状況について、2021年から2023年までの変化を見てみると、「非常に改善している」と「やや改善している」を合わせた「改善している派」の割合は年々増加している。2021年調査では10%であったのに対して、2023年調査では32%となった。
一方で、「非常に悪化している」と「やや悪化している」を合わせた「悪化している派」の割合は、2021年調査では41%だったのに対して、2023年調査では10%と31ポイントも減少している。コロナ禍での混乱が大きかった2021年調査に対し、2023年調査では2年が経過したことで、オンラインなど新たな社内コミュニケーション様式にも慣れ、各企業で落ち着きを取り戻してきていることが、変化の主な要因だと考えられる。
2023年調査において「改善している派」と「悪化している派」の割合を比較すると、22ポイント差となり、「改善している派」の割合が高くなっている。全体としては改善傾向にあることがうかがえる。
テレワークの実施率は企業規模によって差が出る結果に
社内でテレワークを実施している社員はどの程度いるのか質問したところ、「ほぼすべて」「過半数の社員がテレワーク社員」の割合は、大企業では39%と約4割にのぼり、中堅企業では21%、中小企業では27%となった。企業規模が大きいほどテレワーク社員の割合が高く、逆に企業規模が小さいほど「テレワーク社員はまったくいない」の割合が高くなっている。中小企業での「テレワーク社員はまったくいない」の割合は36%であった。
社内コミュニケーションの手段は「対面が良い」が過半数
対面とオンラインではどちらのほうが社内コミュニケーションを取りやすいと感じられているか質問したところ、大企業では「圧倒的に対面が良い」が最多の36%となった。「やや対面が良い」の21%と合わせて、「対面が良い派」は6割近くにのぼっている。
中堅企業では「どちらとも言えない」が33%と最多であるが、「対面が良い派」は60%と大企業を上回っている。実際の社内コミュニケーションとしては「オンライン会議ツール」や「メール」が主流であるものの、「オンラインが良い派」(「圧倒的にオンラインが良い」と「ややオンラインが良い」の合計)が1割未満にとどまっているのは、双方でのコミュニケーションを経験したうえでの実感であると考えられる。
また、中小企業では「圧倒的に対面が良い」が46%と半数近くになり、「対面が良い派」は76%と8割近くにものぼっている。大企業や中堅企業と比較して、中小企業では対面での社内コミュニケーションが主体であるという実態に即した所感がうかがえる。
オンラインが適しているシーンは情報伝達やフォーマルな会合
オンラインのほうが適すると思う社内コミュニケーションのシーンについて、大企業では「全社員参加の会合(年始挨拶など)」が63%で最多、次いで「社内通達の周知」が62%と6割を超える結果となった。中堅・中小企業でもこれら2項目が上位となったが、1位は「社内通達の周知」(中堅企業67%・中小企業54%)であった。双方向のコミュニケーションではなく、情報伝達やフォーマルな会合などでは、オンラインでも問題なく機能が果たされ、移動を伴う必要がなくなり利便性も高まるというメリットがあると考えられる。
効果があったと思われる取り組み、大企業は「飲み会・ランチ補助」が1位
実施している取り組み上位10項目のうち、効果があった項目として、大企業では「飲み会・ランチ補助」が最多で50%、続いて「1on1」が46%、「経営層との定期面談・ミーティング」が40%であった。業務に関連しない対話の場の創出に効果を感じる傾向となっている。
中堅企業では「コミュニケーション研修」が最多の50%、次いで「社内チャットツール」が46%、「コーチング研修」が33%と続いており、コミュニケーションスキルの獲得とともに、気軽でスピーディーに意思疎通をしやすいコミュニケーションツールに効果を感じているようだ。
中小企業では「コミュニケーション研修」が最多の61%で、実施率自体が低いものの効果は実施した企業の6割にのぼっている。「自己申告制度」が50%、「コーチング研修」が43%と続いた。
調査結果の詳細はこちら。
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