パネリスト
有沢 正人(ありさわ まさと)氏
カゴメ株式会社 常務執行役員 CHO
複数のグローバル企業で人事領域の改革を行ったのち、2012年1月にカゴメ株式会社に特別顧問として入社。人事面でのグローバル化の統括責任者となり、全世界共通の人事制度の構築を行っている。2012年10月より執行役員人事部長に就任。2018年4月より常務執行役員CHO(最高人事責任者)となり国内だけでなく全世界のカゴメの人事最高責任者である。
辻 佳予子(つじ かよこ)氏
サントリーホールディングス株式会社 ピープル&カルチャー本部 課長
2010年サントリーホールディングス株式会社入社。サントリー食品インターナショナル株式会社にて果汁飲料、天然水のブランド戦略、商品開発を担当。2019年同社戦略企画本部にてブランドマネジャーの育成を担当。マーケティング畑から人材育成領域にキャリアを拡げる。2021年同社ピープル&カルチャー本部サントリー大学にて、新入社員からシニア層まで人材育成に携わる。
源田 泰之(げんだ やすゆき)氏
ソフトバンク株式会社 コーポレート統括 人事本部 本部長 兼 総務本部 本部長 兼 Well-being推進室 室長
1998年入社。営業を経験後、2008年より人事領域を担当。2019年HRアワード個人部門の最優秀賞などを受賞。ソフトバンクグループの後継者育成機関ソフトバンクアカデミア、グループ社員向けの研修機関ソフトバンクユニバーシティを立ち上げ、新規事業提案制度ソフトバンクイノベンチャーでは選出されたアイデアの事業化を推進し複数社の設立を支援。また、高い志と異能を持つ若手人材支援を行う孫正義育英財団の事務局長も兼務。
佐々木 紀彦(ささき のりひこ)氏
株式会社PIVOT CEO
福岡県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業、スタンフォード大学大学院で修士大学院で修士号取得(国際政治経済専攻)。「東洋経済オンライン」編集長、NewsPicks 創刊編集長、NewsPicksStudios CEOを経て、2021年6月にPIVOTを創業。著書に『日本3.0 2020 年の人生戦略』『米国製エリートは本当にすごいのか?』『起業のすすめ さよなら、サラリーマン』他。
モデレーター
上田 渉(うえだ わたる)氏
株式会社オトバンク 代表取締役会長/日本オーディオブック協議会/常任理事 耳活アドバイザー
東京大学経済学部経営学科中退。複数NPO・IT企業の立ち上げ・運営を経て、2004年オトバンクを創業し、代表取締役に就任。出版業界の振興を目的に、オーディオブックを文化として浸透させるべく日々奔走している。「audiobook.jp」を運営し、2022 年に会員数250万人を突破。2022年7月に10年ぶりに著書『超効率耳勉強法』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)を出版。
人材育成の各企業の取り組み
——人材育成について、自社ならではのテーマや取り組みはありますか。(問いかけは上田渉氏。以下同)
有沢正人氏(以下、有沢) カゴメでは人材育成担当という名のHRBP制度を導入しています。個人の自律的な成長を促進するとともに、現場の課題を明確化し、経営陣や本部と連携しながら、現場が持つ課題を着実に解決していくのもHRBPの役割です。現場へ行ってタレントマネジメントシステムも使いながら、「◯◯さんは何をしたいですか」「それはなぜ」と本人のキャリアについて対話を繰り返し、個人のキャリア意識の向上や開発のサポートを行っています。
辻佳予子氏(以下、辻) 弊社は、2015年にサントリー大学を社内に開校しました。その中のおもしろい取り組みとして「TERAKOYA」というプラットフォームがあります。社員が自ら講師になったり、話を聞きたい・同僚に聞いてほしいと思った講師を連れてきたりできる場です。「学ぶ」「教えあう」「つながる」の3つをコンセプトにしていて、年間約300講座が開かれています。そのうち6割は社員が自発的に立ち上げた講座でして、仕事に直結するものから趣味的なものまで講座の内容はさまざまです。
源田泰之氏(以下、源田) ソフトバンクにも社内認定講師制度があります。ソフトバンクユニバーシティという全社員向け研修制度の一環で、いまは社内の研修の90%以上を内製しています。たとえば、リーダーシップやコーチングといったスキルを、一般的な考え方をベースにしながらソフトバンクではどういうふうに使えるのか実践的に学べます。社内に講師がいるので、うまくいかなかったら質問できるのもポイントで、受講者の満足度が高いうえに、コストを抑えられるメリットがあります。
——こういった企業の取り組みはメディアからはどう見えているのでしょう。
佐々木紀彦氏(以下、佐々木) 各社、おもしろい取り組みをされていますね。従来の詰め込み型の研修はあまりおもしろくないという現場の声も聞きますし、多くの企業では、OJT以外の学びはまだあまり発達していないのだろうなと感じています。
有沢 おっしゃるとおりで、カゴメも昔は階層別研修がありましたが、いまはほとんどやっていません。なぜかというと、集まってもらって研修をしても、講義に集中していない。机の下で「今日はどこに飲みに行く?」ってLINEでやり取りをしていたり(笑)。
代わりに、選択型研修を中心に行うようになりました。年代や年次は関係なく、受けたい人が受けられるようにしています。たとえば、ロジカルシンキングの研修では、支店長と新入社員が2人で議論している姿が見られたこともありました。