Schooは、同社が提供する社会人向けオンライン学習サービス「Schoo」の受講データの分析結果をもとに、「リスキリングの傾向まと~2023年の社会人学習の変化~」および「2023年の人気授業ランキング」を発表した。
発表の内容と同社の解説は次のとおり。
リスキリングの傾向まとめ〜2023年の社会人学習の変化〜
2021年から2023年までの各年の人気授業TOP10を学習テーマで比較すると、昨年に上位を占めていた「コミュニケーション術」をテーマとした授業に代わり、2023年は「PCスキル」をテーマとする授業が多くなっている。また、「AI」を学習テーマとする授業が初めてTOP10にランクインしており、「PCスキル、AI、コミュニケーション」の3大テーマが仕事および社会人学習の関心事項であることが分かった。
背景として、ChatGPTをはじめとする生成AIの台頭や人手不足によるDXニーズの高まりを受けAI活用の動きが加速する中で、足元の基本的なPCスキルの装着が重視されたことが予想されるという。
また、年代別の特徴を見ると、2023年のSchoo総受講時間のうち最も大きな割合を占めたのは40代で、「コミュニケーション術(ビジネス基礎)」と「PCスキル(ビジネス基礎)」の授業が人気であった。また、50代・60代のミドルシニアのユーザーによる受講時間は昨対比が約110%、コロナ以前の2019年対比では約380%と増加している。
ミドルシニア層には「PCスキル(ビジネス基礎)」の授業が最も人気が高く、2023年は「AI(DX)」の授業の人気も高いことが分かった。技術革新による労働市場の変化や定年の後ろ倒しにより、ミドルシニアのリスキリング意識が高まっていると同社は述べている。
2023年の人気授業ランキング
今年の人気授業の傾向は、「時短」「生産性向上」「AI活用」などを扱ったものが多く、既存のビジネススキルに効率を掛け合わせ、時間あたりの生産性を上げたいビジネスパーソンのニーズが現れた。
2023年の人気授業TOP10のうち、個人受講の1位は「仕事を『短くやる』5つの習慣」、法人の研修受講の1位は「ビッグデータ 基礎理解と企業の活用事例」であった。
個人受講では、AIで業務を効率化する方法をハンズオン形式で学ぶ入門授業が上位に多くランクインしている。AIを使いこなすためのプロンプトに関連する授業や、ITパスポートの取得に向けた学習など、AIに正しい指示を行い、意思決定をすることの重要性を意識した授業のニーズが見受けられた。また、1位が「時短術」の授業であることも合わせて、コロナ禍以降の「タイパ志向」の高まりを反映していると予想される。
法人の研修受講では、コミュニケーション術やダイバーシティが重要視される中、多様な価値観を持った組織をどうマネジメントしていくのかを学ぶニーズの高まりを受け、マネジメントなど組織開発系の人気が目立つ結果となった。新しい傾向としては、個人と同様にAI活用の研修需要の高まりが見てとれる。ビッグデータ分析の授業が1位になったことも、AI人気に関連していると考えられる。
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