Smart相談室は、相談窓口を設けている企業の人事・労務担当者535名を対象に、相談窓口の活用に関する実態調査を実施した。
56%が従業員の離職の原因を「メンタル不調」と回答
まず、従業員の離職を問題視していると回答した441名に、「どのようなことが原因で離職が起きていると思いますか。当てはまるものを教えてください」と質問したところ、「メンタルなどの不調」が56.0%、「給料等の金銭的問題がある」が44.9%、「キャリアへの不安」が43.1%という結果となった。
自由回答では「業務形態的に社内コミュニケーションがなかなか取りづらいことによる、帰属意識の低下」や「上がつかえているため、昇格ができにくい」などの意見が寄せられ、企業の体制に関する課題が多く挙げられた。
自由回答の一部抜粋は次のとおり。
- 職場環境の悪化
- 業務形態的に社内コミュニケーションがなかなか取りづらいことによる、帰属意識の低下
- 業界のイメージが低賃金、ブルーカラーのため。年配者がいまだに幅を利かせている。役員の考えが古い。役員が同族
- 休暇の取りづらさ
- 上がつかえているため、昇格ができにくい
- 働きがいの点で離職されている方が多い。どうしてもあなたが必要なんだというような気持ちが会社側から従業員へ伝わっていない
- キャリアの不安、会社の将来性、待遇
従業員が相談窓口を「活用していない」と答えた担当者は半数以上
次に、2022年4月1日に施行された「中小企業のパワハラ防止法」に基づき、設置が義務化された相談窓口の活用状況について、「従業員の方は、相談窓口を活用していると思いますか」と質問したところ、「あまりそう思わない」が37.0%、「全くそう思わない」が14.8%となった。
続いて、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」と回答した人に、「従業員の方が相談窓口を活用していないと思う理由を教えてください」と質問したところ、「相談内容を他人に知られてしまう可能性があるから」が43.0%と最多であった。次いで、「相談したい内容がプライベートな内容だから」が35.4%、「具体的に何を相談できるのか分からないから」が34.7%が続く。
なお、同調査の概要は次のとおり。
- 調査概要:相談窓口の活用に関する実態調査
- 調査方法:インターネット調査
- 調査期間:2023年12月4日~8日
- 有効回答:相談窓口を設けている従業員数50人以上1000人未満の企業に勤めている人事・労務担当者535名
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