組織サーベイで収集した回答の分析
SmartHRでは、人事がそれぞれの部門のマネジメント層に対してベストな支援を提案・実行できるように、組織サーベイで収集した回答を「個人傾向」と「グループ傾向」の大きく2軸に分けて分析しています。
分析はグループ傾向の観察から始まります。まずは属性(所属部門・職種・等級・入社年次など)別にスコアを見て、どこに課題がありそうか当たりをつけていくのがよいでしょう。たとえば、ビジネス部門のスコアが今月少し下がっていると分かったとき、どのチームに変化があったのかを細かく見ていくことで課題の原因を突き止められます。
ただ、1回の傾向だけを見てすべてを判断するわけではありません。単発の結果ではなく、以前の結果とも比較しながら推移を見て、著しい変化が起こっている箇所はないかを確認します。また、スコアの特徴は属性によって異なるため、単純比較で組織の優劣は付けられません。たとえば「やりがいをもって仕事に取り組めている」という質問に対して、A部はYesが80%、B部はYesが60%となった場合でも、「A部のほうが良い組織!」とは一概にはいえません。
組織サーベイはいわば組織の定期検診のようなものです。分析の段階では、推移や属性などさまざまな角度から組織を観察することで、課題を早期に発見でき、要因の仮説も立てやすくなります。
部門ごとのフィードバック
SmartHRでは毎月のサーベイ回答を全社および部門ごとのデータとして取りまとめ、フィードバックレポートを作成しています。全体傾向は全社員が参加可能な経営会議の場で共有し、部門ごとの傾向は個別にフィードバックする機会を設けています。
部門ごとのフィードバックでは、各部門を管掌しているマネジメント層が参加し、回答傾向の変化の確認や課題の特定と深掘り、対応策の検討を行っています。人事は事前に、回答から組織の状況や課題について仮説を立てています。フィードバックの場では立てた仮説に対し、どう改善できるかを人事とマネジメント層が協同でディスカッションしています。このディスカッションから課題解決につながる施策が生まれることもあるため、人事もマネジメント層もこの時間をとても大切にしています。
ディスカッションは、人事とマネジメント層で組織サーベイのスコアを眺めながら部門全体やチームごとの回答傾向の変化を把握することから始まります。その際、オンラインホワイトボードを使用しながら、スコアの上がり下がりに対して気になるポイントや考えられる要因を付せんに記入して貼り付け、議論をしています。
規模が大きくマネジメントの人数も多い部門では、冒頭で全体傾向と今月の注力議論テーマを共有した後、4名程度のグループに分かれて意見交換を行い、最後にグループで議論したことを全体で共有するようにしています。少人数に分かれることで時間をかけて1つひとつのテーマを検討できるため、議論が深まりやすく、その場の意見がそれぞれの業務に活かせる発見につながります。
さらに、次図のような問いかけを人事から行い、議論の深度を高めています。この問いかけを通じて、スコアの上昇につながった良い取り組みやチーム課題への対応策について、マネジメント同士で意見交換・共有し、ナレッジを横展開していきます。