One人事は、全国の人事担当者を対象に実施したアンケート「人事部門の役割と人材マネジメントに関する意識調査」の結果を発表した。
人材マネジメント上の課題
人材マネジメント上の課題を質問したところ、「ミドルマネジメント層の能力開発」が50%、「次世代の経営人材の育成と登用」が45%と、企業の持続的成長のために将来の管理職候補となるミドルマネジメント層の育成が企業の課題となっていることが分かった。また、従業員のエンゲージメント向上にも直結する「社員のモチベーション向上・リテンション」も46%で上位に。優秀な人材の離職防止も、人事部門の課題となっている様子がうかがえる。
人事部門の役割として最も重視するもの
人事部門の役割として最も重視するものを質問したところ、「経営戦略・事業戦略にマッチする人事戦略・組織構築を行うこと」が40%と上位を占める結果になった。事業環境の変化が激しい現代社会において、経営戦略と連動した人事戦略が、企業の持続的な成長と競争力の源泉につながっているのかもしれないという。企業の目標を達成するために、適切な人材の確保・配置、育成など従業員が能力を最大限に発揮できるよう、人事部門の戦略が問われているようだと同社は述べる。
タレントマネジメントシステムの導入状況
タレントマネジメントシステムを導入しているか調査したところ、「導入している」が20%、「導入しているが活用しきれていない」が16%と、合わせて3割がタレントマネジメントシステムを導入していると回答した。一方、「導入していない」は53%で半数を占める結果となった。
タレントマネジメントシステムの導入目的
タレントマネジメントシステムを導入している目的を聞いたところ、「人事考課やアセスメントを運用するため」が53%で最も多く、次いで「人事情報の統合データベースとして」が52%、「計画的な人材育成と配置転換のため」が42%と続いた。従業員の成長やキャリアパスに関する情報を収集し、育成計画と適正な人材配置をすることを目的にしていることが分かる。
タレントマネジメントシステム導入後の課題
導入後の課題について質問したところ、「収集するデータの整理」が41%で最多となり、次いで「複数のシステム間のデータ連携」が36%、「過去データの取り扱い」が32%と、人材データの収集と管理に時間や労力がかかっていることが明らかになった。業務ごとに複数のシステムを利用している場合、管理工数も大きくデータは散在し、各領域の設定や運用に関する負荷も大きく非効率な状態になるため、システム選びも重要なポイントになるという。
HR Transformationについてどう考えるか
人事サービスの在り方を変革することや、人の働き方を変えてパフォーマンスを上げることを目的とした「HRTransformation」(人事機能変革)について、どう考えるかを質問したところ次の声が寄せられた。
- 手管理では踏み出せないことをDXを使って未来の人事を築きたい
- 人材をつくる方法には答えがないので難しい。人間力を育てるのは、人間にしかできない。だから企業として人を育てることを一生懸命やらなければいけないと思っている
- 会社理念に則った継続的な人材育成は必要不可欠な最優先事項
- 効率・生産性・育成も大事ではあるが、“人(社員)を大切にすること(愛)”が一番大切だと思う
なお、調査の概要は次のとおり。
- 調査名:人事部門の役割と人材マネジメントに関する意識調査
- 調査期間:2024年9月20日〜10月3日
- 調査対象:「HRpro」会員(上場および非上場企業の人事責任者・担当者)
- 有効回答数:242名
- 調査方法:オンライン上でのアンケート調査
- 調査企画:One人事
- 提供:One人事
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