HRが事業成長のボトルネックにならないために
初めまして、DIGGLE株式会社でHRを担当している下村です。私は当時、組織が30名ほどであった2023年に、1人目HRとしてジョインしました。今では約80名の組織になっています。
当社の採用プロセスは、全体の流れは標準化していますが、候補者ごとにフィットする体験に磨きこめるよう細部は柔軟性を持たせています。採用活動は、旗振り役のHRがプロジェクトオーナーとして推進します。その際、私たちの採用に対する考え方の1つに、「HRが事業成長のボトルネックにならないようにする」というものがあります。
というのも、スタートアップにとって採用活動は、事業成長のキードライバーでもあるからです。
スタートアップにおけるHRは、採用含めてHR全般の仕組みづくりや事業と連動した各種施策の浸透など、やらなければいけないことが多岐にわたります。一方で、採用活動のスピードが落ちてしまうと事業成長の足かせになってしまうため、スピードとクオリティを担保し続けるための仕組みづくりが必要です。
HRが事業成長のボトルネックにならないようにするという考えのもと、仮にHRが採用に関与しなくても、ある程度は関係者で推進できるよう、次図のようにプロセスを標準化させています。(私は今年産休を取ったのですが、実際にその期間も採用は止まらず動いていたので、仕組みづくりの重要性を痛感したところでした)
重要なのは候補者ごとにフィットするよう採用体験を磨きこむこと
標準化したプロセスがある一方、転職活動のフェーズや興味関心軸、また自社への共感・理解度は候補者ごとにバラバラです。
そのため、標準化されたプロセスのもと、候補者それぞれに合わせた体験をつくること、またこの体験設計におけるオーナーシップはHRと事業部の責任者両方で持っておくことが大切です。事業部の責任者も採用におけるオーナーシップを持つことで、候補者に伝わる業務や組織の解像度が高くなり、入社後に活躍するイメージを具体的に持ってもらえるからです。それにより、入社後の早期活躍につながると考えています。
ここで1つ、候補者別の体験設計について、ケーススタディを用いて説明したいと思います。
ダイレクトリクルーティングで接点を持ったある候補者がいます。もともと候補者は自社のことを知らず、カジュアル面談を通して初めて認知してもらえました。候補者は、転職のタイミングを明確に決めており、いくつか併願して選考を受けている状態です。
こういったケースにおいて、みなさんはどのような選考体験を設計しますか。
もちろん正解はありませんが、私たちはまず、この候補者について議論して、「候補者の中でDIGGLEの選考を受ける理由が明確になることが大切。選考に進む前に、DIGGLEを受ける理由をつくれるような体験を構築する」という答えを導き出しました。
他に考えられる進め方としては、選考ステップの中で会社の理解を深め、意向度を高めてもらうという方法もあると思います。しかし、この候補者には、選考の中でお互いのフィット感や弊社の業務、顧客課題への解像度を高めてほしいという狙いもあったため、あえて選考前に面談を重ねて「当社の選考を受ける理由」をつくることにフォーカスしました。
結果として候補者の意向度がとても上がり、スムーズに内定・承諾までたどり着けました。意思決定の理由の1つに体験設計のていねいさが挙がり、「1人ひとりと向き合う誠実さを感じられ、DIGGLEのValues(行動指針)の1つである“誠心敬意”を体感できた」というフィードバックをもらいました。