KPI運用の落とし穴
一度設計できてしまえば非常に便利なKPIですが、運用にあたっては注意が必要です。
企業の外部環境や組織の状態は目まぐるしく変化します。せっかく設計したKPIが、外部環境の変化によって「もはや状況を端的に示せなくなる」場合もあるのです。にもかかわらず、以前設計したKPIを使い続けると、指標上はうまくいっているように見えても実態はそうではなく、施策自体が形骸化してしまう、なんてことも起こり得ます。
したがって、一度設計したKPIを「ずっと同じまま使い続ける」のではなく、定期的に「いまも現状を正しく反映しているか」「外部環境を踏まえた調整が必要か」などを検討し、アップデートすることが重要です。「これさえ見ておけばずっと安心」というKPIは残念ながらありません。
さらに、人や組織のあらゆる面を数字だけで語ることは不可能だという点にも留意しましょう。KPIはあくまで人や組織を測るための「ものさしの一部」にすぎず、偏重してしまうと大事な要素を見落とすリスクがあります。
とはいえ、こうしたKPIの設計と運用こそが、分析の醍醐味でもあります。うまく設計されたKPIによって、施策を安定的に回せるチーム体制が整うことが理想的です。
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今回はKPIについて解説しました。KPIを適切に設定し運用することで、人事施策の成果を見える化し、迅速かつ客観的な意思決定を支援できます。ただし、KPIも状況によって変化する点や、すべてを数字で捉えきることはできない点には注意が必要です。
次回は、人事業務でどのようなKPIが使われているのか、例を交えながら紹介します。